「元本保証」「必ず儲かります」「特別に優良銘柄をご紹介」などの勧誘にはご注意ください。
投資詐欺の可能性が高く、トラブルに巻き込まれるリスクがあるためです。
近年、投資詐欺に関する相談件数は増加しています。金融庁によると、2019年度の投資詐欺に関する受付件数は304件でしたが、2023年には8,514件となっています。
詐欺的行為が疑われる投資勧誘を受けても、適切な機関にすぐ相談すれば、被害を抑えられるかもしれません。この記事では投資詐欺にあってしまい、困ったときの相談先や相談時のポイントについて解説していきます。
✓相談時のポイント
✓被害にあわないための注意点
投資詐欺にあったときの相談先4選
投資詐欺の被害にあってしまった際の相談窓口には、次の4つがあります。
- 司法書士・弁護士事務所
- 警察
- 消費生活センター
- 法テラス
各機関の特徴について、順番に解説します。
投資詐欺の相談先1.司法書士・弁護士事務所
司法書士や弁護士には、悪徳業者に対する損害賠償請求や返金交渉の相談ができます。実績が豊富な司法書士や弁護士に依頼すれば、被害回復の可能性を高められるでしょう。
騙された、と気づいたときには、すでに悪徳業者と連絡がとれなくなっているケースが多く見られます。自力で返還請求を行おうとしても、そもそも相手方を特定できなければ請求できません。司法書士や弁護士なら相手方を特定できる可能性があるため、和解交渉を進められるでしょう。
また、悪徳業者に連絡がついたとしても、もっともらしい理由をつけて返金に応じないこともあるでしょう。司法書士や弁護士は、法律に則って交渉を進めるため、自力で交渉して悪徳業者に丸め込まれてしまう心配も少ないでしょう。
被害回復の可能性を高めるだけでなく、ご自身の負担を軽減するためにも、司法書士や弁護士へ早めに相談しましょう。
投資詐欺の相談先2.警察
投資詐欺の被害にあってしまったときは、警察に相談するのも有効です。民事紛争の場合は介入しませんが、刑法の詐欺罪や詐欺未遂罪が適用されるケースであれば、事件として立件できるでしょう。
ただし、明確な証拠がなかったり犯人が不明だったりすると、被害届や告訴状は受理されない可能性があります。また、警察が動く目的は犯人逮捕であり、お金を返してもらうことや和解ではありません。返金を求める場合には、弁護士・司法書士への相談が適しています。
各都道府県の警察では、被害相談窓口を設置しています。警察専用相談電話「#9110」を利用すれば、全国どこからでも管轄の警察本部相談窓口に繋がります。一度相談してみるとよいでしょう。
投資詐欺の相談先3.法テラス
法テラスは、国民向けの法的支援を行う機関です。無料の法律相談や司法書士・弁護士費用の立て替え制度などがありますが、誰でも利用できるわけではありません。
これらの制度を利用するには、収入額が一定以下であることや、返金の見込みが少しでもあることなど、複数の条件があります。司法書士や弁護士に依頼する費用が賄えない場合は、条件を確認したうえで、利用を検討してみましょう。
投資詐欺の相談先4.国民生活センター(消費生活センター)
国民生活センターは、消費者庁管轄の相談機関です。投資詐欺だけでなく、消費生活に関するさまざまな問題に対応しています。
消費者ホットライン(188)が設置されており、10時〜16時の受付時間内(※2024年9月時点)であれば、全国どこからでも最寄りの消費生活センターに相談できます。
消費者ホットラインに繋がらないときは、国民生活センターのバックアップ相談(03‐3446‐1623)を利用しましょう。ただしこちらも、地域により受付時間が決まっているため注意してください。
投資に関する不安を相談できる窓口
高配当や元本保証など、好条件の投資先を紹介されると、投資してよいものか不安になるでしょう。不審に感じる点がある場合は、次の2つの窓口を利用しましょう。
- 金融サービス利用者相談室
- 「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンター
被害にあってしまうと、被害回復が困難なケースも多くあります。不審に感じる点が少しでもある場合は相談機関を利用し、被害を未然に防ぐことが重要です。
金融サービス利用者相談室
金融庁が開設する、金融サービスに関する相談受付窓口です。電話、FAX、Webフォーム、郵便で相談を受け付けています。
投資はその性質上、必ず利益が出るものではありません。そのため、騙されているのか一般的な投資リスクの範囲内なのか、自分では判断できない場合があります。
金融サービス利用者相談室は投資全般に対する相談に応じていて、論点の整理や他機関の紹介を行っています。投資話を持ちかけられて不安な場合に利用するとよいでしょう。
ただし、実際に被害にあってしまった場合は、相談室でお金を取り返してもらうことはできません。返金を希望する場合は、司法書士や弁護士に依頼しましょう。
「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンター
全国の証券会社や金融機関を会員とする、日本証券業協会が設置するコールセンターです。金融庁の金融サービス利用者相談室と同様、他機関の紹介やアドバイスが受けられます。
相談内容は警察に情報提供されるため、同様の被害相談が複数確認された場合は、刑事事件として立件される可能性も高まるでしょう。
投資詐欺の相談時のポイント3つ
各相談機関を利用する際は、次の3点を意識しましょう。
- 早めに相談する
- 状況を時系列順に整理しておく
- 可能な限り証拠を揃える
いずれも普段から意識して準備しておくことが必要です。順番に見ていきましょう。
相談のポイント1.早めに相談する
騙されたと気づいたら、すぐに相談機関を利用しましょう。時間が経つほど、投資詐欺を行った悪徳業者が逃走したり、証拠を隠滅したりする可能性が高まるからです。時間が経てば経つほど、被害の回復は困難になります。
また、一度騙されてしまうと「騙しやすい人物」として業者間で共有され、二次被害のターゲットにされやすくなります。たとえば、投資詐欺のグループが今度は弁護士を装い、被害回復を名目に依頼料を要求するといったケースです。このような手口は「劇場型」と呼ばれ、典型的な詐欺的手法として挙げられます。
被害金を回収するためだけでなく、二次被害を防ぐためにも、できるだけ早めに相談することが重要です。
相談のポイント2.状況を時系列順に整理しておく
これまでの経緯を時系列に沿って整理しておくことで、スムーズに相談できます。しかし、騙されたことに気づいた直後は混乱していて、情報を上手く整理できないかもしれません。
日ごろから投資の状況を記録しておけば、情報を錯綜させずに相談が可能です。とくに投資初心者の場合は、投資総額を把握して適切に資金管理するうえでも記録が役立ちます。
相談のポイント3.可能な限り証拠を揃える
証拠が揃っていれば、被害金を回収できる可能性は高まります。証拠には、次のようなものが挙げられます。
- 相手方の情報
- 被害内容
- 手口の詳細
- 説明書類や契約書
- 相手方とのやり取り
少しでも怪しいと感じたら、相手方とのやり取りを記録しておきましょう。とくに、SNS上のやり取りは削除される可能性が高いため、スクリーンショットを保存しておくと安心です。
投資詐欺の返金方法や返金率については、以下の記事で解説しています。あわせて参考にしてください。
投資詐欺にあったと気がついたときに「返金されないのでは?」なんて不安を感じている人はいませんか? この記事では、投資詐欺で泣き寝入りしないために知っておきたい返金率や返金事例をご紹介します。 [afTag id=4390] ✓[…]
投資詐欺の被害にあわないための注意点
詐欺まがいの勧誘に騙されないために、投資を行う際は次の3つを意識しましょう。
- 商品の信用性を確かめてから投資する
- 知り合って間もない人の誘いに乗らない
- リスクのない投資は存在しないと心得る
投資詐欺の被害にあってしまうと、被害が回復できない可能性もあります。そのため、被害にあわないようにすることが最も重要です。
商品の信用性を確かめてから投資する
投資商品は、権利や未公開株など、実体を伴わないものを対象とすることが多くあります。そのため、投資に慣れていなければ相手方の言うことを信じるしかなく、騙されてしまう可能性が高まるのです。
投資先の口コミや評判、金融庁の登録状況をチェックすることで、詐欺まがいの行為にあう確率を減らせます。たとえば、未公開株や社債であれば会社が実在するかどうかを自分で検索して確認しましょう。事業者から教えられたURLは、偽装ページの可能性もあるからです。
そもそも、未公開の株や社債は一般の投資家に案内される可能性が低く、取引市場もないため換金しづらい特徴があります。高配当や後日高く買い取る、といった言葉に惑わされず、慎重に判断しましょう。
知り合って間もない人の誘いに乗らない
投資詐欺を行う多くの悪徳業者は、SNSを利用しています。SNS上でやり取りをしてチャットグループに誘導し、サクラを利用して信用性を高め、投資を持ちかけるのが特徴です。
このほか、実際に会って投資話を持ちかけられるケースもあります。対面の場合は複数人で囲まれるなど、契約を断りづらい環境で話をされる可能性が高いため、安易に会ってしまうのは危険です。
知り合って間もない人から儲け話を持ちかけられたら、十分に検討してから返答しましょう。事前に相談機関を利用するのも対策として有効です。
リスクのない投資は存在しないと心得る
資産運用には価格変動や事業破綻など、リスクが付きものです。高利回りな商品とは、高い利子を払わなければ買い手がつかない「高リスク商品」とも捉えられます。そのため、元本保証をしながら高利回りの商品というのは、通常考えにくいものです。
また、少額投資でも投資回数が多くなれば出資額はどんどん積み上がっていきます。自分が投資に回せる金額と、実際に投資している金額を常に把握し、資金には余裕を持つようにしましょう。
投資詐欺の被害にあったかも…と思ったら、すぐ司法書士に相談しよう!
投資詐欺は時間が経つほど、被害の回復は難しくなります。もしかして騙されているかも…と心当たりがある場合は、速やかに司法書士や弁護士に相談しましょう。
最初に少額の金額を振り込んで安心させるなど、投資詐欺の勧誘は、手口が巧妙化しています。
「必ず儲かる」「あなただけに優良銘柄を紹介する」といった誘いに惑わされず、商品の安全性を確かめてから投資することが重要です。
少しでも怪しいと感じたら相談機関を利用し、被害を未然に防ぎましょう。