2024年4月4日のYahoo!ニュースで、10代〜20代の100人にアンケートを取ったところ、70人が「日本国内でのオンラインカジノの利用が違法だとは知らない」と回答したことが報じられました。
日本ではまだオンラインカジノになじみのない人も多いため、ゲーム感覚で手を出してしまう人もいるかもしれません。
この記事では、オンラインカジノで遊ぶとなぜ逮捕されるのかをニュースの事例も交えて解説します。
✓オンラインカジノに関連する3つの罪
✓オンラインカジノで逮捕された5つの事例
オンラインカジノの決済代行業者が逮捕された事件とは?
2024年7月30日のYahoo!ニュースにて、海外のオンラインカジノで客に賭博をさせ、約3億円の利益を得たとして、決済代行業者の代表ら5人が常習賭博の疑いで逮捕されたと報じられました。
5人は、会社名義の口座に入金することで海外のオンラインカジノを利用できる、決済代行システムを運営していました。
2022年6月〜2023年5月までの間に、決済代行システムを使い20代〜50代の男性客6人に賭博をさせた疑いが持たれています。
警察は男性客6人も今年5月までに単純賭博の疑いで書類送検しました。
このことから、オンラインカジノで遊ぶこととオンラインカジノで客を遊ばせることの両方が罪に問われるとわかります。
オンラインカジノで逮捕されると問われる罪とは?
オンラインカジノで逮捕されると、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。3つご紹介します。
賭博罪
賭博罪とは、金銭や品物など価値のあるものを賭けて争った場合に課される罪のことです。
刑法では第185条にその内容が記載されています。
ただし競馬、競輪、競艇、オートレースなど、法律に基づいて許可されている公営ギャンブルは罪に問われません。
前の項目でご紹介したニュースでは、オンラインカジノの男性客6人がこの罪に問われています。
賭博罪に問われないようにするためには、公営ギャンブルで遊ぶことが大切です。
常習賭博罪
常習賭博罪とは、何度も繰り返し賭博を行った場合に課される罪のことです。
刑法では第186条にその内容が記載されています。
賭博に常習性がある状態というのは、賭博を繰り返し、生活の一部となっている人を想像するとわかりやすいでしょう。
前の項目でご紹介したニュースでは、オンラインカジノ決済代行業者の代表ら5人がこの罪に問われ逮捕されています。
裁判所の「裁判例検索」を用いて「常習賭博罪」を検索すると、古いものでは昭和23年の判例が出てきます。時代が変わっても賭博に依存する人はなかなか減らないとわかる結果でしょう。
賭博場開帳等図利罪
賭博場開帳等図利罪(とばくじょうかいちょうとうとりざい)とは、賭博場を開設・運営した場合に課される罪のことです。
刑法では第186条第2項にその内容が記載されています。
賭博場開帳等図利罪は次の2つの要件を満たすと適用されます。
- 賭博が行われる場所を開設し、運営する
- 利益を得るのを目的として開設する
利益を実際に得たかどうかは関係なく、利益を得るのを目的として賭博が行われる場所を作れば賭博場開帳等図利罪は適用されるのです。
オンラインカジノで逮捕された5つの事例
警察庁では、オンラインカジノを利用した賭博は犯罪だとホームページで注意喚起するだけではなく、検挙件数を以下のように公開しています。
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
検挙件数 | 127人 | 59人 | 107人 |
また、独立行政法人国民生活センターでもオンラインカジノの違法性について注意喚起し、事例を紹介しています。
オンラインカジノで逮捕者が出た事例を5つご紹介します。
日本初、オンラインカジノプレイヤーが逮捕された事例
2016年3月10日、日本で初めてオンラインカジノプレイヤー3人が賭博の容疑で逮捕されました。
逮捕の理由は次の通りです。
理由 | 概要 |
オンラインカジノを日本で運営していると見なされた |
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プレイヤーがプレイの詳細を公開していた |
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プレイヤー3人のうち2人は略式起訴されて前科がついたものの、罰金10万円〜20万円を支払い釈放され、残りの1人は略式起訴を不服として控訴し無罪となりました。
これは、オンラインカジノの運営者がイギリスでライセンスを取得して運営しており、プレイヤーだけを罪に問えなかったためです。
オンラインカジノでプレイヤーとして遊ぶだけでも罪に問われ、前科がつくリスクがあるとわかる事例でしょう。
日本初、無店舗型オンラインカジノの運営者が逮捕された事例
2016年6月10日、無店舗型オンラインカジノを運営したとして、日本で初めて運営者ら5人が常習賭博の容疑で逮捕されました。
この事件は、運営会社がオランダ領キュラソーでライセンスを取得し、オンラインカジノを運営していたにもかかわらず、日本で常習賭博の容疑をかけられたことで注目を集めたのです。
逮捕に至った理由はサーバーのみを海外に設置し、運営は大阪市内で行っていたためです。
運営者5人のうち役員の男2人は常習賭博罪、会社員の男2人は常習賭博ほう助の罪として起訴、1人は賭博ほう助の疑いがかけられていましたが、起訴猶予となります。
その後京都地裁から、会社役員1人には懲役3年(執行猶予4年)と約750万円の罰金、従業員2人には懲役1年6カ月(執行猶予3年)が言い渡されました。
前の事例の判決と比較すると、運営者の逮捕ということもあり、かなり重い判決となっているのがわかります。
日本初、オンラインカジノの決済代行業者が逮捕された事例
2023年9月27日、オンラインカジノ用に入金された金をポイントに変換したり、払い出したりできる決済代行システムを運用したとして、男性2人が逮捕されました。
決済代行システムを使うことによりプレイヤーの賭博を容易にしたとして、日本で初めて決済代行業者に常習賭博ほう助の容疑がかかった事件です。
決済代行システムにはプレイヤー4万2千人が登録し、業者は約2年間で21億円以上の利益を得たとされています。
また2023年11月16日には、男性1人が再逮捕されています。第三者の法人名義の口座へ35回にわたって、入金されていたことがきっかけでした。男性は犯罪収益を隠すため、国内の客12人から約300万円を入金させたとして、組織犯罪処罰法違反の疑いがかけられました。
ポイントを使用することには、プレイヤーの「お金を賭けている感覚」を薄める目的があります。また決済代行システムは賭博が違法だという認識をプレイヤーに持たせにくくするシステムとも言えるでしょう。安易に犯罪に手を染めないためにも知っておきたい事例です。
海外初、オンラインカジノ運営で逮捕された事例
2024年2月19日、オンラインカジノを違法に運営したとして、男女7人が賭博場開帳等図利罪の容疑で逮捕されました。
海外サイトのオンラインカジノ運営者が逮捕されたのは、日本初のことであり、大きな注目を集めました。この事例以前は、捜査権が及びにくい海外にあるサイトは、運営者の逮捕が難しいとされていました。
7人は共謀して2023年3月〜12月ごろ、海外法人が管理するオンラインカジノへ日本国内から接続してきた男性客6人から賭博の場所代として金銭を集め、賭博場を開いた疑いが持たれています。
約10年間で会員数は約7万4千人にのぼり、約23億円の入金があったとみられます。
海外でオンラインカジノを開いたとしても、罪をまぬがれることはできないとわかる事例です。
海外のオンラインカジノ利用をYouTubeで配信し逮捕された事例
2024年6月21日、海外のオンラインカジノで賭博をしたとして自称YouTuberの男性が逮捕・送検されました。
YouTuberの男性は、2023年7月〜9月に海外のオンラインカジノで繰り返し賭博を行い、常習賭博の容疑がかけられたのです。
また、2023年4月に男性はオンラインカジノでの賭博の様子をライブ配信していたのですが、それが匿名で通報され警察が捜査していました。男性は容疑を認め、警察は余罪を追求しています。
オンラインカジノをライブ配信するのは、自分の犯罪行為を配信するだけではなく賭博を助長することにもつながると覚えておきましょう。
まとめ
オンラインカジノを開設・運営すると賭博場開帳等図利罪、賭博をすると賭博罪や常習賭博罪に問われ、逮捕されます。
事例やニュースに目を通し、安易にオンラインカジノへ接続してしまわないよう、十分に注意しましょう。