投資詐欺にあったと気がついたときに「返金されないのでは?」なんて不安を感じている人はいませんか?
この記事では、投資詐欺で泣き寝入りしないために知っておきたい返金率や返金事例をご紹介します。
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✓投資詐欺で返金される確率を上げる方法
✓投資詐欺で返金してもらうための手続き
✓投資詐欺の返金時効の延長について
投資詐欺における返金率
画像出典:株式会社キュービック「投資詐欺に関するアンケートを317人に実施!初心者が被害に遭う現状があらためて浮き彫りに」
2021年6月に株式会社キュービックと一般社団法人金融リテラシー協会は、共同で317人を対象に投資詐欺についてのアンケート調査を行いました。
投資したお金はどのくらい戻ってきたかと聞いたところ「返金なしが65.6%」だったため、このアンケート調査における投資詐欺による返金率は34.4%だったのです。
この結果から、投資詐欺にあった場合「返金してもらうのは簡単ではない」とわかります。
投資詐欺で返金される確率を上げるには?
投資詐欺にあってしまった場合、返金される確率を上げるにはどのようなことをすればよいのでしょうか。
3つご紹介します。
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投資詐欺かどうかを早めに確認する
2024年6月、金融庁は「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」を設置した旨を発表しました。
実際に投資詐欺の被害にあった人からの相談だけではなく、詐欺的な投資の勧誘を受け不審に思った人や投資を悩んでいる人などからの相談も受け付けているので、投資詐欺かどうかを見極められます。
詐欺的な投資に関する相談ダイヤルの概要は以下の通りです。
項目 | 概要 |
受付時間 |
|
電話番号 |
|
Webサイト | 金融サービス利用者相談室 ウェブサイト受付窓口 |
あくまでも「詐欺的投資」かどうかの有無のみに留まるため確実に「投資詐欺」と気が付いた場合は弁護士、司法書士等の専門家への相談をお勧めいたします。
自己判断せず、信頼できる先に相談して投資詐欺かどうかを客観的に判断してもらいましょう。
証拠を集める
投資詐欺で泣き寝入りしないためには、詐欺的行為の被害を受けた証拠を収集するのも大切です。
次のような情報を保存しておくと、被害を受けた証拠として役立ちます。
- 業者の情報(氏名、電話番号、SNSアカウント、口座情報など)
- 業者から受け取った書類(投資に関する説明資料や契約書、領収書など)
- 業者とのやり取りの履歴やスクリーンショット
ささいな情報から悪徳業者の特定へとつながる場合もあるため、手元にある情報をしっかりと確認しておきましょう。
弁護士や司法書士に相談する
投資詐欺にあい自分の力だけで返金につなげるのは難しいと感じたら、弁護士や司法書士に相談してみるのも1つの方法です。
事務所のホームページの実績を見るとどのような分野や案件を得意としているかがわかるので、投資詐欺で返金の実績を持つ事務所に依頼すると、お金が返ってくる可能性が高まるでしょう。
投資詐欺で返金してもらうための手続き
投資詐欺にあった場合、返金してもらうためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
4つご紹介します。
クーリング・オフ
クーリング・オフとは一度契約の申し込みや契約を結んだ場合でも、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。
特定商取引法では、クーリング・オフができる取引と期間を定めています。
期間 | 取引の種類 |
8日間 |
|
20日間 |
|
一般的に投資詐欺でよく用いられる販売形態としては「訪問販売」「電話勧誘販売」「連鎖販売取引」が主です。
投資詐欺の勧誘がクーリング・オフの対象となるわけではないため、まずは司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。
振り込め詐欺救済法における返金手続き
投資詐欺であっても、実態としては振り込め詐欺と同様です。そのため振り込め詐欺救済法に基づいた返金手続きが適用されます。
具体的な手順は次の通りです。
- 警察や振込先の金融機関に連絡して、口座を凍結(利用停止)する
- 振込先の金融機関に所定の「申請書」、運転免許証などの「本人確認書類」、振込控などの「振込みの事実を確認できる資料」を提出する
- 口座の残高に応じて被害額のすべてや一部を被害回復分配金として受け取る
被害者に分配される金額は、振込先口座が凍結されたときの残高が上限となる点に注意が必要です。
また申請を受け付けてもらえるのは、振り込んでしまった口座を金融機関が凍結して、失権手続き(約60日)を行った後に開始される、支払手続き(約90日)の期間内となっています。
ただしこの手続きの場合、口座を凍結した段階ですでに業者が入金されたお金を引き出していることが多いため、元の金額がそのまま返金されるケースは少ないことも覚えておいてください。
民事訴訟
民事訴訟とは、裁判官が法廷で訴えを起こした人(原告)と訴えられた人(被告)双方の言い分を聞いたり、証拠を調べたりして、最終的な判決によって争いごとの解決を図る手段です。
民事訴訟の途中で話し合いにより解決することもでき、これを「和解」と呼びます。
民事訴訟を起こすメリットは以下の通りです。
- 相手方が交渉に応じない場合も民事訴訟であれば解決が進行する場合がある
- 適正な金額での解決が期待できる
- 判決や和解の内容が記載された和解調書に基づき、債務名義を取得し強制執行を申し立てられる
ただし民事訴訟は、紛争の対象が140万円以下の場合は管轄簡易裁判所、140万円を超える場合は管轄地方裁判所となります。
原則として申立を起こす側に立証責任があり、主張内容の誤りやその請求原因に理由がない場合、棄却されるケースもあります。
民事訴訟申立の手続きについては専門家の知識等が必要になるため民事訴訟を検討している方は弁護士、司法書士等の専門家への相談をお勧めいたします。
刑事告訴
刑事告訴とは、被害者が捜査機関に犯罪行為を申告して犯人の処罰を求めることです。刑事訴訟法第241条にて、書面または口頭で、警察や検察に行わなければならないと定められています。
刑事訴訟法第230条〜232条によると、刑事告訴ができる人は次の通りです。
- 被害者本人
- 被害者の法定代理人
(被害者が未成年者の場合法律上の親権者、未成年後見人、成年後見人など) - 被害者からの委任を受けた代理人
(弁護士、行政書士、司法書士) - 被害者がすでに亡くなっている場合は配偶者、直系親族、兄弟姉妹
- 被害者の法定代理人が被疑者の場合(または特殊な関係にある場合)は、被害者の親族
投資詐欺は親告罪(告訴がなければ検察官が起訴できない罪)ではないため、期限がないことを覚えておきましょう。
投資詐欺の返金時効は延長できる?
投資詐欺の返金については、民事事件の時効と刑事事件の時効が存在しますが、この記事は返金請求を望む方へ向けて、情報をお届けしているため、民事事件の時効延長についてのみ解説します。
一般的に投資詐欺の返金に適用されるのは、民事事件における不法行為に基づく損害賠償請求権の時効と、不当利得返還請求権の消滅時効です。
不法行為とは故意または過失により他人の権利または法律上保護される利益を侵害する行為のことで、不法行為をした人はされた人に対し、与えた損害を賠償しなければなりません。
それぞれの時効の期間は以下の通りです。
時効までの期間 | 法律 |
被害者またはその法定代理人が損害と加害者を知った時から3年 | 民法第724条第1項 |
加害者が不法行為を行った時から20年 | 民法第724条第2項 |
不当利得返還請求できることを権利者が知ったときから5年(主観的起算点)
不当利得返還請求できるときから10年(客観的起算点) |
民法第166条 |
投資詐欺にあったらまずは、時効になっていないかどうかを確認するのが大切です。
時効完成の猶予の手続きをする
民法第150条では催告があった時から、6か月を経過するまでは時効にならないと定められているため、催告をして6か月の間、時効にならないようにすることを時効完成の猶予と呼びます。
催告とは義務を果たさない人に対して、義務を果たすよう請求することです。
催告の方法については法律で定められていないため口頭でも可能ですが、催告をしたことが証拠として残るよう配達証明付きの「内容証明郵便」で催告書を送付するのがよいでしょう。
時効完成の猶予のための催告は、1度しか行うことはできないので注意が必要です。
時効の更新の手続きをする
時効の更新とは法律で定められた一定の事由があると、時効期間のカウントをリセットできる制度です。
民法で定められた時効の更新ができる事由は以下の通りです。
- 権利の承認(民法第152条)
- 裁判上の請求・支払督促など(民法第147条)
- 強制執行・担保権の実行など(民法第148条)
投資詐欺の返金の時効が迫っているからとあきらめるのではなく、まずは必要な手続きをして時効の延長を試みましょう。
まとめ
投資詐欺による返金率は30%程度で高いとは言えませんが、証拠を集め、実績のある事務所へ依頼することで返金の可能性が高まるでしょう。
この記事も参考にして、投資詐欺に泣き寝入りせず、対処する方法を身に着けてみてください。