新型コロナウイルスが流行してから、副業をする人が増えています。在宅でできる仕事が多いため、自分にあった仕事を探せる点に魅力を感じている人が多いようです。
しかし「簡単に稼げる」という誘い文句に乗ってしまい、いつの間にか犯罪や詐欺的行為の被害に巻き込まれてしまう人が増えてきています。
副業のマニュアルを高額な値段で購入してしまい、稼げるどころかお金を取られてしまうという副業詐欺の事例が多発しています。
そこで本記事では、副業サポートを謳った詐欺的行為について紹介します。被害にあった場合に返金されるのかどうか、副業サポートのよくある手口、LINE等での勧誘事例も解説していくので、ぜひご一読ください。
✓トラブルが多い副業詐欺
✓副業サポートで後悔しないための対策
✓副業サポートにおける詐欺的行為の被害に悩む人へのアドバイス
「簡単に作業するだけ」という副業に注意
副業を調べると「誰でも月に数十万円が稼げます」「1日で数万円稼げます」といった広告やサイトが出てくることがあります。
記載されている作業内容は、簡単なメール対応をはじめ「自分もできそう」と思わせるものが多いです。しかし、そういった副業は、副業詐欺の可能性があるため注意してください。
簡単に稼げる旨を強調したマニュアルを購入しているものの、実際の内容が違ったという相談事例について、消費者庁からも注意を呼びかけています。簡単に稼げる仕事はありませんので、「簡単に作業するだけ」「数分メッセージを送るだけ」といった内容には用心してください。
副業サポートにおけるよくある相談例
仕事の獲得や一定金額を稼げるまで支援する副業サポートというサービスがあります。具体的な支援内容や範囲は、事業者によって異なります。
副業サポートに関する相談で多いのは、本章の事例です。仕事を得るため、しっかりサポートする事業者も存在しますが、すべての副業サポートがそうとは限りません。利用する際は、信頼できるかよく検討してください。
ホームページやSNSアカウントからLINEへ誘導する
副業サポートを受けた被害者のほとんどの方が、最終的にはLINEへ誘導され勧誘をうけています。LINEへ誘導する際の誘い文句には、以下のようなものがあります。
- 簡単に儲けられる副業案件を紹介します
- 稼げるまでサポートするよ
副業サポートを受けたが稼ぐ事ができない
副業サポートを受けたが稼ぐ事ができないという相談が相次いでいます。具体的には、以下のような例があります。
- 電話の勧誘で副業サポートと契約したが、稼げなかった
- チャットするだけの仕事だが、事務手数料を取られたため採算が取れない
- 最初に手続きのための費用を払ったが、それを回収できるだけの稼ぎに繋がらない
ほとんどの副業詐欺は事前に支払いを求めます。相手方の会社名や担当者、電話番号などの写真を撮り、証拠をとっておきましょう。
またLINEの証拠は削除するように指示されるケースが多く、怪しいと感じたらスクリーンショットなどで保全してください。
副業サポートを行う事業者に高額借入を要求された
「手続き費用・入会金を支払わせる」「高額な商材を購入させる」といった手口は、副業サポートを騙った詐欺的行為の代表例です。「稼げるからすぐに返せる」と謳い、高額借入を案内してくるケースもよく見られます。
国民生活センターでは、副業・儲け話についての相談例を載せています。判断に悩む方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。高額商材やサポートプランの契約によってお金をとるだけでなく、遠隔操作を求めて個人情報を抜き取る事例もあるため、注意してください。
健全な副業サポート事業者であれば、「1日でいくら稼げる」といった不確定なことについて断言しません。また、お金が欲しい人に対して無理に出費させないでしょう。
借入の手口
より高額な商材を購入させようとする事業者の場合、「お金がない」と断ると「貸金業者」を紹介してきます。
1社ではなく、2〜3社からお金を借りるように指示されます。「勤務先の情報について虚偽申告をするように」などの指示があり、口車に乗せられて、結局お金を借りてしまうのです。
先にお金を要求された場合、すぐに消費者センターに問い合わせてください。すでにお金を払ってしまい悩んでいる方は、司法書士や弁護士に相談してみてください。
近年増加傾向か? 副業サポートのトラブル事例
副業サポートを探している方だけでなく、SNSで「お金が無い」と投稿をしただけでも勧誘される可能性があるため、あらゆる年齢層がターゲットと言えます。
共通しているのは、収入が少ない傾向にある点です。副業で少しでもお金を稼ぎたいという気持ちにつけ込んで、SNSなどで「簡単に稼げる」とそそのかします。勧誘だけでなく、広告も増えているため注意しましょう。
いかにも、本当に稼げているかのような動画や画像を一緒に載せていることもあります。しかし、簡単に稼げるといった投稿を見て興味を持っても、安易に「いいね」をしたりDMを送ったりしないでください。
SNSから誘導されて、サポートプランを契約し数十万円〜数百万円を事業者に払ってしまうと、さらに生活の余裕がなくなってしまいます。
場合によっては、誰かに相談する時間もお金もなくなってしまうかもしれません。
各地域の消費生活センターが、副業関連での被害増加について注意を呼びかけています。「自分は大丈夫」と思わず、気をつけましょう。
トラブルが多い副業詐欺事例
副業サポートを騙った詐欺的行為の可能性が高い業務は、「短時間で高収入が獲得できる」という誘い文句を入口としたものです。以下では、悪徳な副業サポート業者が扱うことの多い業務を紹介します。仮にそれらに当てはまらないことを理由に、「自分は詐欺にあっていない」と思ってはいけません。
情報商材の売買
情報商材の売買では「稼ぐためにはノウハウや知識が必要」と言って、最初に数万円ほどの商材を売りつけ、次第に高額な商材を購入させるという手口が多いです。
最初に具体的な内容を聞かされず手元に届いたマニュアルを確認すると、ネットで検索したら出てくるような内容が書かれているケースが多いです。さらに悪徳なケースでは、全く関係のないマニュアルを渡されたという事例もあります。
情報商材の中には、内容を見ると他の誰かに情報商材を売るように書かれているケースもあります。商材が売れれば、いくらか貰える仕組みです。
情報商材で損をした方が元を取るために誰かに売りつけてしまうことで、連鎖的に被害が広がっていきます。
出会い系サイト・マッチングアプリのサクラ
出会い系サイト・マッチングアプリで「会員の男性とやり取りをするだけ」や「簡単にメールを返信するだけ」と言って興味を持たせる手口があります。
登録料といって高額な費用を払わせ、実際に作業をしても報酬は貰えないという事例が多く見られます。
このような詐欺的行為を「メルレ詐欺(メールレディ詐欺)」と言います。中には、メールするためにポイントが必要だと言って、課金させられるケースもあります。
副業斡旋
副業斡旋とは、企業と個人の間で業務委託の仕事を仲介する事業のことを言います。「短時間で高収入を獲得」「誰でも簡単に稼げる」といった内容の謳い文句で、期待させます。
稼げずにいると「より稼ぐために必要」という理由で、マニュアルを購入させてきます。加えて「資格を取得すれば斡旋する」と期待させて、講座やテキストを高額で購入させるケースもあります。
斡旋というと、単に副業を紹介すればいいと思うかもしれません。しかし人と人を繋ぐ仕事は本来、クライアントが求めている人材のヒヤリングやスキルの判断、費用の妥当性など、あらゆる観点から総合的に判断する必要があります。決して簡単な仕事ではありません。
投資のツール
投資を使った副業詐欺の手口は、投資にまったく興味がない人に対し言葉巧みに誘導することからはじまります。
わずかに稼げる場合もあるため、「稼ぐためにはマニュアルが必要」などと言われると、高額の教材を購入してしまうかもしれません。
全く知らない人からマニュアルを購入するのは、トラブルの元です。安易に信用しないようにしましょう。
投資の場合、たまたま一時的に稼げたとしても、長続きしないことが多いので警戒してください。
よくある手口は、例えば100人のうち50人には上昇相場を、残り50人には下落相場を伝える方法です。50人が稼げたら、儲からなかった50人と連絡を断ち、儲かった人に「より儲かる」とそそのかしてツールやマニュアルを購入させます。その50人のうち、また儲かった25人に……と、成功者からお金を取っていく流れです。たまたま稼げているだけにもかかわらず、本人からは商材やツールの効果であるように見えてしまいます。
副業サポートで後悔しないための対策
副業サポートで後悔しないための対策を紹介します。これから副業を始めようとしている方はもちろんのこと、副業で新しい取引先と契約しようとしている方も注意してください。
万が一被害にあった場合には、消費者ホットラインや警察に問い合わせてみてください。
また、副業トラブルを得意とする司法書士・弁護士に相談することによって、払ってしまったお金を取り戻せるかもしれません。
「簡単に稼げる」「楽に儲かる」副業はないと考える
簡単に稼げる仕事はありません。広告の言葉を鵜呑みにしないように注意しましょう。
どのような内容の仕事なのか詳細が書かれていないにもかかわらず「儲かる」とだけ言われることもあります。さらに「募集枠に限りがある」と急かす、お金が無くても「このマニュアルを買えばすぐに返せる」と言って借金までさせる手口に用心してください。
お金を払えないと断ると「民事訴訟」や「訴状」といった、法律用語を多用して脅すケースもありますが、慌てずに司法書士や弁護士に相談してください。
安易に画面共有をしない
パソコンやスマホで画面を共有したり、操作のサポートに使われたりする遠隔操作を悪用する事業者もいます。
作業の説明を理由に「遠隔操作で指導する」と言われても、簡単に遠隔操作アプリをインストールしないようにしてください。「インターネットバンキングのやり方を教えます」と言って、画面を共有させようとする行為にも注意してください。
相手が遠隔操作していると思った場合、すぐに端末の電源を切るようにしましょう。不安なことがある場合、司法書士や弁護士などに相談することをおすすめします。
メッセージは保管しておく
LINEで副業の説明を受けている際に、現在使っているアカウントを削除するように言われることがあります。証拠隠滅を目的とした指示ですので、削除しないでください。
トラブルがあった際の証拠として保存しておきましょう。事業者の会社名や担当者の名前、電話番号なども確認しスクリーンショットで保存しておくと、いざというときに解決へつながりやすいです。
消費者へのアドバイス
繰り返しますが、簡単に稼げる仕事はありません。あったとしても、そうそう人に教えられるものではないでしょう。
誰に勧誘されても、きっちり断ってください。しつこく勧誘してくるならば、SNSは通報・ブロックし、メッセージが届かないようにしてください。
契約してしまった場合、相手方と連絡が途絶えてしまい解約が難しくなる可能性があります。場合によっては、すでに払ってしまったお金を取り戻すのに時間や手間がかかるケースもあるため、契約しないようにしましょう。
勧誘者が「友人」や「知人」の場合もあるかもしれません。しかし先ほど説明したように、自らの損失を取り戻すために、紹介しているのかもしれません。
少しでも怪しいと思った場合は「自分には必要ない」ときっぱり断ることをおすすめします。
副業サポートで借金返済に悩んだら債務整理も選択肢
契約金やサポート料が原因となって生じた借金に悩んでいる場合は、債務整理も選択肢に入れてみてください。
「債務整理」には任意整理や個人再生などの方法があり、生活していくにあたって現実的に払える額へ減額する措置です。
どのようにお金を返していくのかは契約次第ですが、生活が困難になり精神的に思い詰められてしまう前に相談してください。
騙されたら泣き寝入りせず無料相談から
副業で詐欺的行為にあった場合、返金してもらえる可能性があるため、司法書士や弁護士に相談してみてください。
自分で解決できる場合もありますが、事業者が詐欺的行為を認めない場合や、解約するにあたってさらにお金を取られてしまう可能性が高くなります。二次被害にあわないように、専門家に依頼することをおすすめします。