会社の給料とプラスαの収入がほしいと感じている方は、多いかもしれません。物価高騰の影響や働き方の多様化に伴って、本業以外に副業する人も増えてきました。毎月のお財布事情に、少し余裕ができるだけでも、心にゆとりをもてますよね。
しかしこの副業、しっかり見極めなければ、生活にゆとりができるどころか、借金を抱えてしまうリスクがあります。今回は、お金を稼ぐどころか搾取されてしまう、副業詐欺の手口について解説します。
✓副業詐欺で夜発している手口
✓悪徳サイトかどうか、見極めるポイント
✓当所に寄せられた相談事例
✓クーリングオフの対象となる副業詐欺について
✓詐欺的行為が疑わしい場合の相談先
✓副業詐欺で、頻繁に用いられる支払方法
✓被害にあわないための予防策
副業詐欺とは?
そもそも「副業詐欺」というものをご存知でしょうか?
名前の通り「副業で稼げること」を謳った詐欺のことです。副業は、本業の合間に取り組むため、簡単な作業や初期費用が抑えられる仕事が適しています。もちろん副業を頑張れば、相応の報酬が得られます。しかし「頑張らなくても、高い報酬が得られる副業」は要注意です。
副業詐欺は、サイドビジネス商法とも呼ばれています。多様な働き方ができ、副業が身近なものとなった時代だからこそ、増加している詐欺的行為です。副業詐欺として多く見られるのが、副業に必要だからと高額な商材を買わせたり、登録料を支払わせて音信不通になったりというものです。悪徳業者は、さまざまな理由をつけて金銭を要求してきます。「すぐにもとが取れる」といった常套句が出たら危険です。怪しいサイトへ登録したことによって、個人情報が流出するリスクもあります。他にも「商材を送るから」と言われて、住所を教えてしまうのも危険です。
一度でも詐欺的行為の被害にあってしまうと「騙しやすい相手」として、業者間で情報を共有される恐れもあります。他の詐欺的行為の被害にあうリスクも高まります。
なお以下の記事では副業詐欺における返金の可能性や、その方法について解説しているため、あわせて参考にしてください。
副業詐欺の手口は、この8パターンに分類できる?!
副業詐欺の手口は複数あります。ここでは頻繁に見られる手口を8つ紹介します。
1.情報商材
副業詐欺の手口として、代表的なのが「情報商材」です。ネットで簡単に稼げる・資産を2倍にするなどと謳った情報・ノウハウを、有償で提供しますというもの。安価であれば数千円ほどですが、100万円以上する高額な商材もあります。
しかし情報商材は、購入するまで中身がわかりません。実際に購入して読んでみると、ごく一般的な情報しか記載されていないケースもあります。
情報商材のすべてが、詐欺的行為に使われているとは言えません。しかし自分にとって必要な情報が確実に手に入る商材なのか、冷静に考えてみるべきでしょう。
2.スマホ副業
特別な資格や専用機材がないという方をターゲットにしているのが「スマホ副業」です。スマホ1️台あれば、どこでも副業ができると勧誘するものです。指定のサイトをクリックするだけ、写真・スタンプを選ぶだけの簡単作業などと、謳っているものは要注意です。詐欺的行為を行うサイトに誘導される可能性があります。
3.出会い系
出会い系アプリのサクラを勧める副業詐欺もあります。サクラとして男性からのメールに返信するだけで◯万円、1日1回メール相談に答えるだけなどといって、勧誘するケースが多く見られます。
出会い系サイトへ登録はもちろん、登録料や利用料、報酬を受け取るための手数料など、さまざまな費用を請求されます。
4.副業斡旋・資格取得サポート
副業の斡旋や資格取得をサポートするという名目で、金銭を要求してくる副業詐欺も発生しています。
在宅で稼げる、高収入の副業を紹介すると勧誘したのち、会員登録料を支払わせるといった手口です。登録料だけでなく、仕事に必要だからと商品の購入を迫るケースもあります。登録して商品を購入しても、副業を紹介されることはありません。
また士業をはじめとした、難関資格の取得をサポートするといって勧誘される場合もあります。高額な教材を買わせるだけで、実際には何もサポートしてくれないことも珍しくありません。
5.メールレディー・カウンセラー
出会い系と少し似ているものに「メールレディー・カウンセラー」という副業もあります。勧誘内容としては、高所得者の異性とメールでやりとりをし、悩みを聞くだけで謝礼が出るというもの。
何度かメールのやりとりをしていると、相手から「高額な謝礼を渡したい」といった申し出があります。手続きの費用としてポイントを購入するように支持されたり、口座情報を教えるよう求められます。
高額な謝礼をちらつかせて、ポイントを購入させる、お金を振り込ませるというのは詐欺的行為の常套手段です。
6.ネットショップの運営代行
副業詐欺の手口として'ネットショップの運営代行'も頻発しています。ネットショップ経営の話を持ちかけ、発送や仕入れの費用といって何度もお金を請求します。実際に購入されている画面を見せ「〇個売れたので、発送費用として1つにつき〇円払ってください」と言われるそう。発送手続きだけでなく、仕入れや売り上げの出金手数料などさまざまな口実でお金を要求されます。最後は、莫大な仕入れ値を要求され、入金できないと伝えると「違約金」を請求される事例もあります。
また、最初に「月〇円を〇カ月間運営する」と決め、サイトの作成費用を一括で支払うように迫るケースもあります。しかし費用を支払って作成したサイトからの売り上げが見込めず、報酬を得られないケースが多発。最悪の場合、費用を支払った瞬間に、連絡が途絶えてしまうこともあります。
7.投資のレクチャー
「投資のレクチャー」を謳った副業詐欺も横行しています。1つ目に解説した、情報商材を騙った詐欺まがいの悪徳商法です。投資で成功するためのノウハウを教えると言って、高額な商材を買わせるというもの。
他の手口とは異なり、自然に購入を促すため気づきにくいかもしれません。しかし、商材通りに運用してもなかなか成果に結びつきません。クレームを言っても「もっと良い商材を教える」といって、さらに高額な商材を買わせようとします。
ただし、投資レクチャーという手口の場合、商材を販売することは違法行為ではありません。違法行為と見なされるのは「絶対に稼げる」「誰でもできる」など、不確定な事実を断定して勧誘する行為です。
8.輸入商品のネット販売
輸入商品をネットで販売する副業も、詐欺まがいの悪徳商法として使われがちです。商品を輸入し販売するという方法は、ポピュラーなビジネスであるため、信用してしまう方が多くいらっしゃいます。
実際には、「仲介料」や「コンサル料」といった名目でお金を請求されてしまいます。そもそも輸入ビジネスは、税金をはじめとした専門知識を要するビジネスです。決して「誰でも」「簡単に」できるビジネスではありません。
副業詐欺の巧妙な手口に騙されない、悪徳サイトを見極め方
詐欺的行為に関する知識がないと、悪徳サイトかどうかを見極めるのは難しいかもしれません。ここでは悪徳サイトか安全なサイトか、見極めるポイントを5つ解説します。
料金が発生するタイミング
副業詐欺の入り口となっている悪徳サイトは、料金が発生するタイミングに注目すると見極めやすいでしょう。副業詐欺の多くが、副業を始める前に費用を請求してきます。以下のような名目で、高額請求する業者が多いようです。
- マニュアル購入費
- システム利用・登録料
- 商品購入費用
- 手数料
- 講習・教材費
- コンサル・情報提供料
上記のような項目でお金を請求されたら、一度冷静になって、悪徳サイトの可能性を考えてみましょう。
成功例ばかりアピールしてくる
他の人の成功例を聞くと、モチベーションや副業への期待が高まるでしょう。しかし成功例ばかり、やたらとアピールしてくる業者は要注意です。どのような仕事にも、良いことと悪いことがあり、成功と失敗があります。
デメリット(失敗例)を説明せずに、良いことばかり話す業者は、詐欺的行為を働こうとしている可能性が高いかもしれません。
頻発している怪しい成功例は、SNSでブランド品の画像を投稿し「貧乏だった私がいまでは月〇〇万円のセレブに!」というもの。実際のブランド品が並んだ写真に思わず「自分もなれるかもしれない!」と思うかもしれません。視覚的な勧誘行為に過ぎないので、要注意です。
運営会社の概要
運営会社の概要が確認できるかどうかも、判断材料になります。通常の副業サイトであれば、運営会社の情報を手軽に入手できるはずです。確認できる内容は、住所や電話番号、メールアドレス、代表者の氏名など。
一方で、副業詐欺に使われている悪徳サイトの場合、電話番号やメールアドレスといった「問い合わせ先」が記載されていないケースも珍しくありません。副業を始める前に、運営会社の情報はチェックしましょう。
極端な表現を使って勧誘してくる
どのような商売でも「絶対稼げる」とは、断言できません。しかし副業詐欺の場合は「誰でも稼げる」「絶対稼げる」など、極端な表現を使って勧誘してきます。なかでも投資関連で「絶対」というワードを目にしたら、すぐに詐欺的行為を疑ってください。
ネット広告において「必ず」「絶対」「確実」という、断定的な表現は禁止されています。
稼ぐ方法があまりにも簡単
副業は本業に比べ、手軽にできることが魅力です。しかしあまりにも簡単すぎる副業は要注意。例えば「1日5分の作業で月10万」という勧誘は危険です。30日稼働したとして、1分で約600円稼げる計算になります。
1ヶ月で10万円と聞くと、そこまで破格の報酬とは感じませんが、分単位の報酬で考えると常識離れした金額であるとわかります。
2つの手口が使われた、副業詐欺の事例
副業詐欺として、ここで実際にあった事例を紹介します。
インターネットで副業を探していたAさんは、サイトを発見。
相談にのってくれたら、報酬を支払うという話を聞き、指定されたサイトへ登録しました。報酬が50万円からと、かなり高額であったためでした。
しばらくやり取りし、実際に報酬を受け取ろうとしたタイミングで、サイトへの課金を促された。理由は「セキュリティの解除が必要」や「コードエラーの解除」など。
受け取りにかかった費用分も、報酬に上乗せすると言われたことで、支払ってしまいました。
しかし報酬を受け取るどころか、次々と理由をつけてダイヤ(サイト内でのマイレージ)を購入するよう要求されました。結局、最後まで報酬が支払われることなく、課金を繰り返しただけでした。
上記はすでに解説した「8つの手口」のうち「3.出会い系」「5.メールレディー・カウンセラー」に分類される副業詐欺です。ピーチリンクは悪徳サイトであり、しっかりと逮捕されています。
オンラインの掲示板で男性の相談に乗るという架空の副業サイトで、副業を希望する女性から手数料をだまし取ったとして、警視庁犯罪収益対策課は11日、詐欺などの疑いで、サイト「サポー(現ピーチリンク)」を運営していた新潟市中央区、職業不詳の加藤真詩容疑者(41)ら26人を逮捕したと発表した。
クーリングオフの対象となる副業詐欺
「クーリングオフ」は訪問販売や電話勧誘から、消費者を守るための制度です。契約を結んでしまったあとでも、一定の期間内であれば契約を解除できる制度のことを指します。通常の契約であれば、お互いの同意がない場合の契約取り消しはできません。しかしクーリングオフが認められた場合は、相手の同意がなくても契約を取り消せます。
クーリングオフが認められる副業詐欺として、代表的なのは「内職商法」と「マルチ商法」です。すでに契約していても、20日間以内であれば取引をキャンセルできます。一方で、通信販売で購入した情報商材は「クーリングオフの対象外」です。
副業詐欺の相談先
副業詐欺にあってしまったと発覚した場合は、速やかに適切な機関へ相談しましょう。副業詐欺を疑った場合の相談先として、ここでは消費者センターと警察、弁護士・司法書士の解説についてします。
消費生活センター
被害額が少ない場合は、消費者生活センター・消費生活相談窓口・国民生活センターなどへの相談がおすすめです。すべての市区町村に相談窓口があります。また消費者ホットライン「188」で電話相談も可能です。
ただし消費生活センターは、アドバイスは行っているものの、悪徳業者との返金交渉はできません。
警察
被害額が大きい場合は、警察に相談するのも方法の一つです。ただし警察に訴えたとしても、必ず事件化されるわけではありません。
被害届を出している人が少なかったり被害額が少なかったりすると、捜査が行われないケースもあります。また警察は、基本的に「民事不介入」であるため、悪徳業者に対して返金請求は行えません。
弁護士・司法書士
詐欺的行為の被害にあった場合の相談先として、もっとも確実なのが'弁護士'や'司法書士'です。業者に対して返金を請求できるため、被害額を取り戻すには最適でしょう。悪徳業者が返金を拒否した場合、裁判になる可能性もあります。訴状の作成や法廷での対応も依頼できるため、心強い味方になります。
次の被害にあわないよう、予防策を知っておこう!
一度詐欺的行為に引っかかってしまうと、場合によっては悪徳業者の間で共有されている「リスト」にのってしまうかもしれません。リスト入りし、業者間で「騙されやすい人」と認識されてしまうと、違う詐欺的手法にあいやすくなります。お金を支払ってしまったことを後悔している今だからこそ、副業詐欺にあわない「予防策」をしっかりと学んでおきましょう。副業詐欺を回避するには、以下5つの行動は欠かさないようにしてください。
- 仕事内容が曖昧な副業は避ける
- 業務開始前に支払を要求してくる会社は避ける
- 仲介サービスを利用する
- 会社名で検索して怪しい噂がないかチェックする
- 家族や友人に相談する
副業詐欺の手口を知り、詐欺的行為から身を守ろう!
「あと数万円でも、毎月の収入が増えたら生活が楽になるのに…」
不景気が続くと、多くの人がこのような不満を感じるでしょう。しかし悪徳業者は、誰もが感じているであろう、不満につけこみます。
副業で稼ごうとしていた矢先、逆に無駄な出費となってしまうことのないよう、副業詐
欺の手口は事前に把握しておきたいですよね。また現在「自分は副業詐欺にあっているかもしれない…」「まだ詐欺的行為かどうかわからない」という人も、専門家へ早めに相談しましょう。対応が早ければ早いほど、お金を取り戻せる可能性は高まります。
丹誠司法書士事務所では、無料相談を受け付けています。詐欺的行為の被害における返金実績も豊富であるため、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※こちらの記事は2024年7月1日時点の情報等にもとづいて書かれています。