丹誠司法書士法人が取り扱いする悪徳サイト・副業詐欺等の業者が支払手段として求める方法として、下記3種類が主に存在いたします。
- 銀行振込
- クレジットカード決済
- コンビニ決済
今回解説するのはこのうちの「コンビニ決済」についてです。
コンビニ決済を悪用した悪徳なサイトというのが非常に多いので、特にこちらに焦点を当てて解説いたします。
このときの詐欺被害の実例や被害内容、詐欺の手口、そして詐欺にあわないための注意点などについても書いていますので、最後までお目通しいただければと思います。
電子マネーのシェア率
まずはコンビニ決済を含めた電子マネーについて解説します。
数年前から多くの店舗で、コンビニ決済をはじめとしたキャッシュレス決済ができるようになりました。公共交通機関や百貨店、スーパー、美容院などでも、いまでは当たり前のように利用できます。
政府は、『キャッシュレス決済を2025年までに全体の4割程度まで押し上げる』という目標を掲げています。
これは、生産性向上・人手不足の解消のため、そしてインバウンド消費が拡大していることが要因です。そのため、これからも利用可能な店舗がますます増えていくことが想像されます。
2010年以降、キャッシュレス決済は、下記の図のとおりに増え続けています。
出典:経済産業省「2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2023年10月20日閲覧)
出典:経済産業省「2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2023年10月20日閲覧)
キャッシュレス決済の代表といえば、以前から使われているクレジットカード決済ですよね。
上の図・表から見ても、クレジットカード決済が、キャッシュレス決済でされた決済額のうちの約9割を占めていることが解ります。
シェア率の高さも群を抜いていますし、今後もさらに加速して増えていくことが予想されます。
今回こちらの記事で解説する「電子マネー(コンビニ決済)」は、キャッシュレス決済の中で第3位のシェア率です。
他の決済方法と比べると、ここ数年での決済総額や比率に、さほど変化が無いことも解ります。
つまり、クレジットカード決済のようなキャッシュレス決済が主流になる前から、コンスタントに使われ続けている決済方法だということです。
電子マネーの特長
電子マネーが以前よりコンスタントに使われているのは、なぜなのでしょうか。
電子マネーは、個人情報との紐づけが必要ありません。そのため、他のキャッシュレス決済と比べて、利用に際しての煩雑さが無いのです。
これは、他の決済方法にはない、電子マネー特有で最大の特長であると言えるでしょう。
個人情報との紐づけが無いということは、個人情報漏洩のリスクもありませんし、利用履歴も個人としては残りません。
利用を始めるにあたって、審査等も必要ありませんので、即時利用可能です。
このように利便性が高いため、日常でだれでも気軽に手軽に利用しやすい、という大きなメリットがあり、重宝されています。
電子マネーの種類
電子マネーは、支払い方式の違いによって3つの類型に分けられます。
支払い方式 | サービス名 | 主な利用先 |
前払い(事前チャージ) | Suica、NetRideCash(ネットライドキャッシュ)など | コンビニ、公共交通機関、オンライン決済など |
後払い | QUICPayなど | コンビニ、スーパーなど |
即時払い(デビット払い) | iDなど | コンビニ、スーパーなど |
コンビニで購入することのできる電子マネー(以後、「コンビニ決済」といいます)は、「前払い」方式の支払手段が取られています。
前払い方式の支払手段は「資金決済に関する法律」で定められています。条文を要約すると下記のとおりです。
- 金額等の財産的価値が記載・記録されること(価値の保存)
- 金額・数量に応じる対価を得て発行されること(対価)
- 証票等、番号、記号その他の符号の発行であること(発行)
- 代価の弁済等に使用されること(権利行使)
これには商品券(紙型)、テレホンカード(磁気型)、交通系ICカード(IC型)、ギフトカード(サーバ型)などが当てはまります。
また、利用先にも違いがあり、オンライン・オフライン、どちらかでしか使えないものもあります。
今回解説するのは、前払い且つオンラインでのみ利用可能な、サーバ型であるコンビニ決済についてです。
コンビニ決済
コンビニ決済とは、コンビニで購入することのできる電子マネーのことです。
コンビニは24時間営業しており、そのため、コンビニ決済はいつでも手軽に購入することができます。
コンビニの店舗数も2023年5月時点で5万店舗余りありますので、その利便性の高さは推し量ることができるかと思います。
コンビニ決済にはいくつかの金額設定が為されていますので、ご自身の状況に応じた金額分の券を選んで購入できます。
実際に利用する際には、支払い方法選択後に表示される入力欄に、購入した券面に記載されている番号などを入力すると、金額が反映されます。
この番号などが判れば、購入した本人でなくても利用することが可能です。
また、一度購入したコンビニ決済は、原則、返品・返金することはできません。(資金決済に関する法律第20条5項)
コンビニ決済が悪質出会い系詐欺サイトに悪用されている!?
コンビニ決済は、個人情報との紐づけが一切不要であり、利用履歴も残りません。
これは【いつでも誰でも持つことができ、即時利用可能な安全な決済方法】であるという、コンビニ決済の最大の特長です。
クレジットカード決済・銀行振込などの他の決済方法とは異なります。
そして、基本的にコンビニ店員と対人で購入処理を行うため、ATMでの銀行振込・クレジットカード決済などの無人決済に比べ、信憑性が高いと思われやすいという側面を持ちます。
実際にお金を使っているのは、悪質出会い系詐欺サイト上ではなくコンビニですので、サイト利用時の警戒心が薄くなります。
これらの特長を逆手に取って、悪質出会い系詐欺サイトに、コンビニ決済が悪用される事件が多発しています。
丹誠司法書士法人にご依頼いただいた被害内容のうち、2022年3月~2023年8月の決済種別ごとの被害額の割合をグラフにいたしました。
クレジットカード決済・銀行振込の被害額と比べると割合は小さいですが、悪徳詐欺サイトでの決済手段として利用されている状況はいまも続いています。
コンビニ決済を使うと、個人情報の紐づけが不要かつ利用履歴が残らないというのは、利用する側にとって「どんなサイトを利用しているかは他人にバレることが無い」という安心感をもたらしています。
なんらかの不都合で個人情報が流出したとしても、コンビニ決済であれば利用者の情報が露呈することはありません。
これは悪質出会い系詐欺サイトの運営業者としても利点があります。
「だれがいつ何に対して利用したのかが判らない」ということですから、万が一「詐欺にあった!」と訴えられても、容易に追跡をすることができないということにつながります。
サイトの特定をすることも難しくなりますし、総額でいくら使ったのかが瞬時にわからなくなります。
コンビニ決済は、上手に利用をしないと、諸刃の剣であることがわかります。
悪質詐欺サイトに悪用されているコンビニ決済の主な種類は、下記のとおりです。
それぞれの使い方や注意点等は、別の記事で詳しく解説いたします。
※こちらの記事は2023年10月20日時点の法令等にもとづいて書かれています。
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