借金の返済が困難になった場合に、借金の減額や返済期間の延長により負担軽減が可能な任意整理を検討することもあるでしょう。任意整理の依頼に必要な費用は、司法書士と弁護士で異なる傾向があります。
本記事では任意整理の費用相場について、相談料や着手金、成功報酬といった内訳とともに、想定される費用を見ていきましょう。
✓任意整理の費用相場
✓任意整理の費用が払えない場合の対処法
✓弁護士・司法書士に依頼するメリット
✓弁護士・司法書士の業務範囲
✓よくある質問
任意整理とは
任意整理とは、借金の返済が困難になった場合に、債務者(お金を借りている人)が弁護士や司法書士を通じて債権者(お金を貸している人)と交渉し、返済計画を見直す手続きのことです。
裁判所を介さずに行われ、比較的迅速かつ柔軟に対応できる点が特徴です。任意整理によって、借金の減額や返済期間の延長が可能となり、負担を軽減できます。
任意整理の費用相場
任意整理の費用は、依頼する司法書士・弁護士への報酬や借金の額、債権者(お金を借りた金融会社や貸金業者など)の数によって異なります。一般的には以下の費用がかかるとされています。
- 司法書士に依頼した場合の費用相場:債権者1件につき5万円まで
- 弁護士に依頼した場合の費用相場:債権者1件につき8万~10万円程度
弁護士に依頼した場合、相談料や着手金、成功報酬が含まれる場合があります。一方、司法書士へ依頼する場合は、相談料や着手金がかからないケースが多いです。
ただし、1社あたりの借金が140万円を超える場合、司法書士は対応できないため注意が必要です。なお司法書士のなかでも、任意整理を扱えるのは「認定司法書士」のみです。本記事では以降も「司法書士」と表記していますが、すべて「認定司法書士」のことを指しています。
司法書士に依頼した場合の費用相場
費用の内訳としては、以下のような項目があります。
相談料・着手金 | 初回相談・着手金は無料の事務所も多い
相談料が有料の場合は、1時間あたり5,000円~1万円程度 |
報酬 | 債権者1件につき5万円まで |
減額報酬 | 債務整理が成功した場合に支払う報酬
減額された借金の5%~10%程度 |
実費 | 事後処理のための交通費や郵送費など |
司法書士の場合「日本司法書士会連合会」によって、相談料・着手金・報酬などの名目を問わず、1件につき5万円までと上限が定められています(任意整理等報酬の上限)。
減額報酬は、減額分の10%までとこちらも上限が定められています。
つまりまとめると司法書士へ依頼した場合、債権者1件につきかかる費用の最大値は、以下の通りです。
5万円(相談料・着手金・報酬)+減額分の10%+実費
※そのほか実費等が発生するケースがほとんどです
弁護士に依頼した場合の費用相場
日本弁護士連合会では、任意整理の着手金について上限は定められていません。そのため弁護士に依頼した場合、司法書士に比べて高くなる可能性があります。費用の内訳は以下のとおりです。
- 相談料:1時間あたり5,000円~1万円程度
- 着手金:1件あたり3万~10万円程度
- 成功報酬:減額された借金の10%~20%程度
弁護士は金額の制限なく、全ての債務整理案件を取り扱うことが可能です。
任意整理の費用が払えない場合は、分割払いの相談を!
任意整理を依頼する際、費用を分割払いにすることで負担を軽減する方法があります。多くの司法書士や弁護士は、分割払いに対応していますので、一括払いは難しいという場合は相談してみるといいでしょう。
支払いが滞ると、手続きが停止する可能性があるため、早めの対処が重要です。
またその場合に当初の債務整理事件処理の方針とは変わってくるケースがほとんどであるため、支払いが出来なくても依頼した司法書士・弁護士に素直に相談されてみてください。
放置していると追加費用や強制執行などのリスクを伴うため、自分の能力を過信しない支払い方法の選択が求められます。
任意整理を司法書士・弁護士に依頼するメリット
任意整理を弁護士や司法書士に依頼することには、以下のようなメリットがあります。
借金の督促・返済を止めてもらえる
任意整理を弁護士や司法書士に依頼することで、債権者は債務者へ直接督促ができなくなります。結果的に、債権調査を行うため督促を一時的に止められます。
借金が家族に発覚する可能性が低い
任意整理は、個人再生や自己破産と異なり、官報掲載されることが無く、債権者と代理人の守秘義務の中で解決します。
基本的に借金問題が家族に発覚する可能性は低いと言えます。
手続き等の負担がほぼない
費用を抑えるために、自身で特定調停を行なった際、手続き及び裁判所への出頭などの時間を要します。また、申立受理通知が債権者に届くまで、督促が止まることはありません。その点、司法書士・弁護士に依頼することで、手続きが迅速かつ確実に進行します。
将来利息等、支払額を減らす交渉力がある
弁護士や司法書士は、債権者との交渉力が高いため、将来利息・経過利息のカットや返済条件の緩和が期待できます。個人で行う特定調停では、過払金の回収を同時申立はできませんが、司法書士・弁護士に依頼することで過払金が発生していれば回収できる可能性もあります。
弁護士と司法書士で扱える範囲はどう対応が違う?
弁護士と司法書士では、扱える範囲や対応方法にいくつかの違いがあります。
ひとつめは扱える債務の額です。
- 司法書士:債務者1件につき、140万円以下の場合のみ取り扱い可能
- 弁護士:金額の制限なく、全ての案件を取り扱い可能。任意整理以外の債務整理も可能
ふたつめは法的手続きの対応についてです。
- 司法書士:簡易裁判所での代理権のみを持つ
- 弁護士:全ての裁判所での代理権を持ち、法的手続き全般に対応可能
任意整理を含めた債務整理の手続きは長ければ、1年を要することもあります。そのため、取り扱える範囲や実績を確認し、信頼できる事務所に依頼する必要があります。
任意整理の費用に関するよくある質問
以下に、任意整理の費用に関するよくある質問とその回答を示します。
任意整理を依頼する際の注意点は?
信頼できる弁護士や司法書士を選ぶことが重要です。過去の実績や評判を確認し、納得のいく説明を受けるようにしましょう。
また、事前に費用の見積もりを確認し、不明な点はしっかりと質問しましょう。分割払いが可能かどうかも確認してください。
任意整理の手続きがどのように進行しているか、定期的に司法書士または弁護士とコミュニケーションを取りましょう。
任意整理は何年で払うのが一般的?
任意整理による借金の返済期間は、一般的には3年から5年程度です。この期間内に、債権者と合意した返済計画に基づいて借金を返済します。
後から追加費用は発生しますか?
任意整理の手続き中に、追加費用が発生することはあります。たとえば、新たな債務が発覚した場合などです。追加費用については、事前に司法書士または弁護士と確認し、不明な点はしっかりと質問しましょう。
任意整理の費用を節約するために自分で手続きするのはリスクが伴う
任意整理の費用を節約するために、自分で特定調停などの手続きを行うこともできますが、リスクも伴います。特定調停の手続きは複雑であり、専門知識が必要です。誤った手続きや不備がある場合、受理されない可能性があります。
また、債権者との交渉において、司法書士または弁護士のサポートがないため、有利な条件での和解が難しい場合があります。手続きには多くの時間と労力がかかるため、生活や仕事に支障をきたすこともあるでしょう。以上の点を踏まえ、弁護士や司法書士などに依頼することがおすすめです。
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