最近SNSを見ていると投資で稼ぐための方法を情報商材として販売しているのをよく見かけるので、自分や家族が被害にあわないか心配している人はいませんか?
この記事では、投資詐欺による逮捕のニュースから見える被害の実態と対処方法について解説します。
✓詐欺的行為の種類や逮捕された場合の罪状
✓投資詐欺による被害の実態
✓被害にあわないための対策
投資詐欺による逮捕のニュースとは?
2024年7月24日の朝日新聞デジタルにおいて、投資の指導料などの名目で現金をだまし取ったとされるSNS型投資詐欺事件について報じられました。大阪府警が24日までに詐欺や詐欺未遂の疑いで男女計90人を逮捕したと書かれています。記事によると、グループはSNSを通じて投資の講師になりすまし、バイナリーオプションの取引をめぐって、指導料や商材購入費の名目で現金をだまし取ったのではないかという疑いが持たれています。
また2024年7月26日の日本経済新聞で、26日に大阪府警が詐欺容疑で逮捕状を取り行方を追っている男女5人について公開手配したと報じられたのです。
このSNS型投資詐欺事件の被害総額は、合計で約9億5千万円に上ると見られています。
参考元:朝日新聞デジタル
ニュースの中で登場する、耳慣れない「SNS型投資詐欺」「バイナリーオプション」「詐欺・詐欺未遂」という言葉についてもう少し詳しく解説します。
SNS型投資詐欺とは?
SNS型投資詐欺とはSNSを通じて、以下のような手口で行われる詐欺です。
- 著名人の名前や画像を使った広告で被害者をSNSに誘導する
- 投資に関するメッセージのやり取り(サクラが儲かっていると投稿するなど)で信用させる
- 投資家やアシスタントを名乗る者から「投資金」「手数料」といった名目で金銭を振り込むよう指示される
- 偽の利益を提示しその一部(少額)を被害者口座に振り込む
- 高額の偽利益を提示し全額を引き出すための手数料を要求される
- 連絡が取れなくなる
出典:警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「SNS型投資詐欺」
2024年1月〜6月までに行われた警察庁の調査では、上の表の通り連絡ツールとして主にLINEが使用されています。被害者が詐欺と気づくまで振り込みの指示は続くので、最終的な被害額が大きくなることもあるでしょう。
バイナリーオプションとは?
バイナリーオプションとは、為替相場や株価指数などを対象にあらかじめ決められた時点での価格の変化を予測し、その価格がある値よりも高いか低いかのどちらかを選んだり、一定の範囲に収まっているかを判断したりする取引です。バイナリーオプションで注意が必要なのは、以下のような手口で行われる詐欺的行為です。
- 友人やSNSなどを通じて「必ず儲かる」とバイナリーオプションの高額商材を購入させられる
- 海外に拠点がある無登録業者との取引に誘導される
- 取引を開始すると損失発生、業者と連絡が取れない、解約できないといったトラブルに見舞われる(※)
※悪徳な業者の場合は判定時のレートが投資した人の不利になるよう、意図的に調整されるケースもある
100%儲かる投資は存在しないので、「必ず儲かる」と言われた時点で疑い、冷静になって考え直すようにしましょう。
なお今回の報道を受け、当事務所の代表が『ABEMA的ニュースショー』へ取材協力し、バイナリーオプション詐欺の手口について解説しています。
短時間でバイナリーオプション詐欺の手口を把握したいという方は、以下の動画も参考にしてください。
詐欺罪・詐欺未遂罪とは?
刑法246条に「詐欺罪」、刑法250条に「詐欺未遂罪」についての記載があります。
詐欺罪とは、人をだまして財産や金銭を取得したり、利益を得たりする犯罪を行った場合に問われる罪のことです。
一方詐欺未遂罪とは、詐欺を実行しようとしたけれど未遂に終わり財産や金銭の被害はなかった状態で問われる罪です。
詐欺未遂罪の場合、被害がないので軽い罪だと誤解されがちですが、詐欺未遂罪に対しても逮捕・起訴され実刑判決が下る場合もあります。
投資詐欺の被害実態
投資詐欺の被害実態とはどのようなものなのでしょうか。前の項目にも出てきた「SNS型投資詐欺」と「バイナリーオプション」の2つにわけてご紹介します。
SNS型投資詐欺の被害実態
出典:警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「SNS型投資詐欺」
2024年1月〜6月までに行われた警察庁の調査によると、SNS型投資詐欺被害者の年齢層は、50代・60代の合計が男性53.6%、女性55.1%とわかりました。つまり全体の約半数を50代・60代が占めているということです。
出典:総務省「令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
2024年に総務省が発表した「令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」において主なSNSの利用率を調べたところ、50代・60代では他の世代と比較するとSNSの利用率が全体的に低くなっています。これらのことから、50代・60代がSNS型投資詐欺の被害にあいやすい要因の1つは、SNS自体を使い慣れていないことと考えられるでしょう。
バイナリーオプションにおける詐欺的行為の被害実態
出典:独立行政法人国民生活センター「無登録業者とのバイナリーオプション取引は行わないで!-SNSをきっかけにした20歳代のトラブルが目立ちます-」
2019年に独立行政法人国民生活センターが全国の消費生活センターなどに寄せられるバイナリーオプション取引に関する相談について、性別・年代別に整理したところ男女ともに20代の相談件数が最も多い結果となりました。
2024年にリクルートワークス研究所が発表した意識調査では、現在20代であるZ世代の特徴を象徴する言葉として「不安」が挙げられています。お金の不安を持つ20代の人が、バイナリーオプションにおける詐欺的行為の対象になりやすい実態が垣間見えます。なお以下の記事ではバイナリーオプション詐欺含む投資詐欺において、返金成功の確率をあげる方法を解説しています。
投資詐欺にあったと気がついたときに「返金されないのでは?」なんて不安を感じている人はいませんか? この記事では、投資詐欺で泣き寝入りしないために知っておきたい返金率や返金事例をご紹介します。 [afTag id=4390] ✓[…]
投資詐欺の被害にあわないための対策
投資詐欺の被害にあわないためには、どのような対策をするのが望ましいのでしょうか。SNS型投資詐欺とバイナリーオプションにわけてご紹介します。
SNS型投資詐欺への対策
SNS型投資詐欺にあわないようにするために、警察庁のホームページでは次のポイントに気を付けた方がよいと呼びかけています。
項目 | 概要 |
国の登録業者かどうか |
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勧誘 |
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広告 |
|
暗号資産やアプリが実在するか |
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振込先口座 |
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参考:警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「SNS型投資詐欺」
上記の中で1つでもあてはまるものがあれば、以下の窓口に相談しましょう。
項目 | 連絡先 |
警察相談専用窓口 | #9110 |
消費者ホットライン | 188 |
未公開株通報専用窓口(日本証券業協会) | 0120-344-999 |
お金を振り込む前に、十分チェックするのが大切です。
バイナリーオプション取引時の対策
独立行政法人国民生活センターでは、バイナリーオプションにおける詐欺的行為にあわないよう、ホームページで以下のようなアドバイスを発信しています。
- 無登録業者とは取引をしない
- セールストークをうのみにせず、リスクが理解できなければ投資をしない
- 不安を感じた場合やトラブルが発生した際は、すぐに消費者ホットラインの188に相談する
バイナリーオプションにおける詐欺的行為では、被害者に対して「バイナリーオプション=簡単で安全な取引」と印象づけようとするため、このようなセールストークをされたら取引は控えましょう。
まとめ
2024年7月24日の朝日新聞デジタルにおいて、投資の指導料などの名目で現金をだまし取ったとされる、SNS型投資詐欺事件が掲載されました。大阪府警は24日までに詐欺や詐欺未遂の疑いで男女計90人を逮捕したと報じています。このような事件に巻き込まれないようにするためにも、SNS型投資詐欺やバイナリーオプションにおける詐欺的行為について理解し、自分の身を守れるようになりましょう。