悪徳サイトを用いて「副業詐欺」を働く業者は、複数の人からある程度お金を集めると、社名やサイト名を変えて逃亡するケースがほとんどです。警察に逮捕されているケースもありますが、まだ逮捕に至っておらず、返金もされていない事例も数多くあります。
副業詐欺で26人の逮捕が報じられた件とは!?
今年6月、東京新聞社が運営するウェブサイトにて、以下のような記事が公開されました。
記事に書かれた内容を要約すると、次のようになります。
警視庁犯罪収益対策課は、求人サイトの運営者26人を詐欺と窃盗の疑いで逮捕したとを発表しました。被害状況は深刻であり、被害者の数は少なくとも8,600人。被害総額は19億円に及ぶそうです。
被害者は若い女性が中心であり、いずれも「簡単に稼げる副業」と言われて、サイトに登録してしまったよう。
サイトで紹介されている副業は「相談にのったら、報酬をもらえる」というものでした。さまざまな悩みを抱えた相手(主に男性)に対して、チャットでアドバイスをすると報酬が支払われる仕組みです。やり取りが何度か繰り返されたのち、被害者へ相手から「相談にのってくれたお礼にお金をわたしたい」といった申し出が届きます。
お金を受け取るために「システムのロック解除が必要」「〇〇機能を追加する必要がある」と、追加条件を出して料金を請求されます。手口としては非常にポピュラーな方法ですが、同じ立場の女性をサクラとして配置するなど細かな工夫がされていました。
「副業詐欺」の被害はあとを経たない…
26人もの逮捕者を出した上記の事件は、副業詐欺のなかでも特に大規模なものでした。被害額、被害者の数がここまで膨らんだからこそ、今回の一件があったとも捉えられます。
しかし世の中には大規模にならず、まだ警察による介入がない副業詐欺事件も数多くあります。ここでは、他の副業詐欺にあってしまった「被害者の声」をご紹介。彼らを苦しめた犯人が、捕まる日は来るのでしょうか。
相談にあった被害者の証言
関西地方に住む男性、Aさんは約190万円のプランに入会し、副業を開始したそうです。しかし副業による収益は、ほとんど得られなかったと語っています。実際のコメントは次のとおりです。
動画内に字幕を入れるほか、再生時間を短くするといった作業をおこないました。
約190万円もの費用が発生するほどのサポートプランにもかかわらず、収益が0というのはおかしいですね。
次に、医療機関で働くBさんの例を紹介します。
Bさんは副業を始めるために、消費者金融で200万円もの借り入れをおこなったそう。もちろん、サポートプランに入会するための費用です。被害者の証言は、以下の通りです。
(入会に必要な費用として)消費者金融で1回の上限額200万円を借りた。
BさんもAさんと同様に、動画編集の副業を依頼されたそうです。お笑いやグルメジャンルの動画を編集したものの、収益は得られませんでした。Bさんの場合、同じく副業をやっている人たちが集うLINEグループへ招待されました。
被害者の心境
いまとなっては後悔の気持ちが大きい。お金は当然、返してほしい。
ただ後悔だけでなく気持ちが落ち込んでしまって、以前のように(本来の)仕事をがんばろうという気がなくなってしまいました(原文まま)。
将来のことを考えると不安です。(副業を始める前の)半年前に戻りたいです…。
いったん落ち着いて考えるべきでした。
いまはとにかくお金を返してほしい(原文まま)。
副業詐欺の特徴は?
言うまでもなく、世の中には詐欺的行為ではない「安全な副業」も多くあります。通常の副業と副業詐欺を、どのように見分ければよいのでしょうか。詐欺まがいの悪徳商法は年々巧妙になっており、まだ広く知られていない手法もあります。
しかし細かな手口が異なるものの、共通しているポイントはあり、それらを「詐欺的行為の特徴」と認識しておくことで、新しい手口が流行しても「おかしい」と気づけるはずです。多くの詐欺的行為に当てはまる特徴は、以下のとおりです。
- 事前にお金を要求される
- 一般的な仕事と比べ、条件がよすぎる
- SNSが入り口となっている
- 極端な表現を多用する
とりわけ2つ目に該当する場合は要注意。サイトに登録したり相手と直接話したりする前に、冷静に調べてみるか周囲の人へ相談しましょう。極端な表現というのは「必ず」「絶対」などです。
詐欺の疑いで逮捕されるとどうなる?
今回の事件、現在は逮捕が報じられているものの、まだ「詐欺罪で起訴」されたわけではありません。今後、26人のなかで起訴される人も出てくるかもしれません。逮捕・起訴されてしまった場合、どのような刑が課されるのでしょうか。
刑罰などについて
詐欺行為は、他の犯罪と比べても量刑が重い部類とされています。刑法246条では、詐欺罪として起訴された場合の量刑を、以下のように定めています。
刑法第246条
第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする引用元:G-GOV|法令検索 刑法
罰金刑はなく懲役刑のみであることから、刑法のなかで詐欺行為が重罪とみなされているとわかります。ただし逮捕=懲役刑というわけではありません。詐欺の内容によっては、執行猶予がついたり不起訴処分になったりする可能性もあります。
詐欺未遂罪とは
詐欺罪と近しい犯罪に「詐欺未遂罪」というものがあります。名前の通り、詐欺を完遂することなく未遂に終わった場合に問われる罪です。犯罪の種類によっては、未遂であれば罪に問われないケースもありますが、詐欺罪はたとえ未遂であったとしても処罰されます(刑法第250条)。
副業詐欺の手口について
副業詐欺の手口には、いくつかのパターンがあります。例えば、確実に儲かると言って情報商材を購入させたり、サイト運用を代行するだけで利益を渡すと言って契約を結ばせたりします。
冒頭の事件は「メールレディ」や「カウンセラー」に分類される、定番の手口です。他にも、あの手この手でお金を振り込ませようとするので、注意してください。
詐欺にあったお金が、返金されるかも!?
詐欺的行為の被害にあってしまったからといって、自分を責める必要はありません。詐欺的行為はあなたが思っている以上に、身近なところに潜んでおり、誰でも被害者になる可能性があります。
大切なことは「詐欺的行為かもしれない」と疑った時点で、すぐに相談すること。相談先として適しているのは弁護士事務所や司法書士事務所です。
今回の事件のように被害者が多いと、運営者が一斉に逮捕される可能性もあります。しかし被害者が少数であれば、警察へ相談しても「民事不介入」と言われ、捜査してもらえないかもしれません。被害届が受理されたとしても、警察が動くのは加害者を逮捕するためであり、あなたのお金を取り返すためではありません。
返金を目的に行動できる弁護士か司法書士が適任です。行動が早ければ早いほど、被害額が返金される可能性は高まります。以下の記事では、副業詐欺における返金の可能性や、その方法について解説しているため、あわせて参考にしてください。
まとめ
なお丹誠司法書士法人では、無料相談を受け付けています。詐欺的行為の被害における返金実績も豊富なため、相談先に悩んでいる人はぜひお問い合わせください。
※こちらの記事は2024年6月25日時点の情報等にもとづいて書かれていもそも