債務整理をおこなえば借金を大幅に減額できる可能性があります。
本記事では債務整理の特徴やメリット・デメリットについて触れつつ、実際に債務整理をおこなった方の事例や費用について紹介します。
✓債務整理のメリット・デメリット
✓債務整理をおすすめするケース
✓債務整理の費用を抑えるには
✓債務整理に関してよくある質問
経験者が「債務整理」をおすすめする理由は?
債務整理や闇金などの借金問題をテーマにしたメディア「あけるさいむ」を運営する株式会社ONE FOR ONEが、2023年11月に借金問題についてのアンケートを実施。アンケート結果によると、約90%が「借金で悩んでいる人に債務整理をおすすめしたい」と回答したそうです。
また、債務整理へ踏み切るきっかけとして、以下の不安が解消されたからと回答した人が多かったようです。
- 知人や家族に知られずに手続きできる
- 債務整理後の生活が、思っていたよりも制限されないことを知ったから
- 弁護士や司法書士に相談して疑問点を聞いて解消できた
債務整理をおすすめしている「経験者の声」
多くの方が債務整理によって、解放されたいのは金銭の問題だけではありません。精神的に落ち着きたい方にもおすすめです。実際、以下のように感じている方がいらっしゃいます。
- 任意整理の手続きをしたら督促の電話がこなくなり、気持ちが楽になった
- 自宅を残したくて個人再生を選択。月々の返済額も減り、気分が明るくなった
- 自己破産をして仕事にも専念できるようになった。人生をいちからやり直せる
債務整理4種類の特徴
債務整理と聞いてしまうと「自己破産しか方法がないもの」と思う方も多いようです。しかし、さまざまなケースに対応できるように、債務整理にはいくつか種類があります。
任意整理
任意整理とは裁判所を通さずに債権者と交渉し、借金の返済方法を見直す方法です。利息制限法に基づき、引き直した残債務を債務者が通常の生活をしながら分割返済していきます。月々の返済が継続するため、ある程度の収入が見込める方には、おすすめの方法といえるでしょう。
任意整理を司法書士に依頼する場合は、国から認定を受けた認定司法書士のみが取り扱えます。しかし、ほとんどの司法書士が認定を受けているため、「そもそも認定司法書士が見つからない」といったケースは少ないでしょう。
ただし認定司法書士であっても、対応できる任意整理は「債権者1社につき140万円まで」です。債務の総額ではないため、注意してください。
任意整理の依頼をすれば司法書士事務所から債権者に受任通知が送られ、督促が止まります。
個人再生
「民事再生法」に基づいて、地方裁判所が債務者の再生を図る方法です。個人再生の特徴としては、住宅ローンを除いた債務を減額できることです。3~5年で返済の目処が立つ場合には、車や住宅などを残せるかもしれません。
給与所得者が個人再生を受ける場合には、全債権者の同意は不要です。開始決定後、給料の差し押さえは受けません。ただし手続きが複雑で、弁護士への依頼費用も高額になる傾向です。
自己破産
自己破産は破産法に基づいて、債務者の全財産を債権者へ公平に分配する方法です。債務者が借金を返済できない場合に利用できる方法であり、免責を受けることで返済義務から解放されます。免責を受けられる債務の例は、以下の通りです。
- 消費者金融からの借入
- クレジットカードの利用分
- 友人、知人からの借入
- 社会福祉協議会からの借入
- 学生時代の奨学金
- 家賃、携帯電話料金、飲食代のつけ
- ガス・電気・水道代、勤務先からの借入
対して、以下は免責されない債務です。
- 税金
- 社会保険:健康保険料、年金、介護保険料など
特定調停
特定調停法に基づき、裁判所が債権者との間に立って話し合いをします。利息制限法で法定利率を引き直したうえで、残債務を調停委員と債務者が返済可能かどうかを検討し、各債権者と返済方法について調停します。
手続きをするには裁判所へ書類提出が必要です。書類受理後、裁判所から各債権者に請求停止の通知が送られて請求がストップします。しかし、債務者自ら手続きをすると、書類作成が複雑で時間がかかり、督促を止められないことが多くあります。
任意整理をおすすめするケースが多い
債務整理の中で多くの方がおこなう手続きは「任意整理」です。債務整理の中で唯一裁判所を通さない方法で、弁護士や司法書士に依頼すれば、大きな成果を上げられる可能性があります。
債務整理において、債務者が債権者と交渉するのは大変困難です。個人でおこなった場合は、交渉に応じてくれないかもしれません。弁護士や司法書士に依頼をすれば、利息分をカットしたり、支払い期間を延長できたりします。過払い金の返金を求め、返済に充てることも期待できます。
債務整理のメリット
債務整理をおこなえば返済できないほどの借金で悩む必要もなくなります。ここでは、債務整理をするメリットについて触れていきます。
一時的に督促や取り立てがなくなる
債務整理を依頼し、弁護士や司法書士等の代理人を通じて債権者に「受任通知」を送付すれば、一時的に督促や取り立てがなくなります。訴訟や強制執行といった裁判上の請求は止められません。
ギャンブルが原因でも利用できる手続きがある
任意整理では、ギャンブルや浪費といった借り入れが原因でもほとんど関係なく和解できるメリットがあります。
自己破産の場合、免責不許可事由がある場合には免責が認められない可能性もあります。しかし、ギャンブル=不許可となるわけではありません。状況によっても異なるため、やはり司法書士や弁護士の助言が必要となるでしょう。
債務整理のデメリット
借金返済が有利になる債務整理ですが、メリットばかりではありません。
新規でローンを組む・クレジットカードの作成が難しくなる
自己破産・個人再生・任意整理・特定調停の手続きでは、信用情報機関に事故情報として登録されます。事故情報が登録されれば、一定期間クレジットカードが作れません。一般的に借り入れできなくなる期間は、手続きによって異なります。
また、銀行のローンなどを申し込んだ際には必ず信用情報が照会され、事故情報が記録されているとローンは組めません。
官報公告がされる(※任意整理を除く)
自己破産・個人再生の手続きをおこなった場合「官報公告(官報)」に住所・氏名・事件番号などが掲載されます。官報とは国の広報誌で、自己破産や個人再生をおこなった場合に掲載されます。なお任意整理の場合は、官報公告がされません。
保証人が影響を受ける
債務に保証人がいる場合には、いずれの手続きの場合でも保証人に影響が及ぶことを忘れないでください。
任意整理の場合は、保証人も任意整理をおこない、主債務者が和解に基づいて支払いをすれば、保証人が支払い義務を負う必要はありません。ただし、保証人の信用情報が事故情報として登録されてしまう可能性があります。
自己破産では一部の職種に制限がかかる
個人再生や任意整理では職種の制限を受けませんが、自己破産をした場合のみ、一部の職業には制限がかかります。例えば、保険の外交員・警備会社の警備員などです。
また、会社法により株式会社・有限会社の取締役・監査役は、いったん退任しなくてはいけません。平成18年5月の法改正により、一度退任した取締役・監査役でも再び選任できます。
債務整理の費用を抑えるコツ
できる限り費用を抑えるコツを紹介します。
無料相談を活用する
司法書士連合会が運営する司法書士総合相談センターは、全国に約150箇所ある相談窓口です。
借金のトラブルに対して、司法書士が解決に向け、親身になって相談にのってくれます。相談料は原則有料ですが、無料相談をおこなっているセンターも多数あります。
法テラスを利用する
法テラスでは経済的に困窮している方を対象に、弁護士や司法書士などへ支払う報酬の「立替制度」を実施しています。
ただし利用するには収入や資産など、厳しい基準を満たす必要があります。
成功報酬、減額報酬、追加費用などを確認する
債務整理の費用を抑えるには、司法書士や弁護士に支払う報酬や費用をよく確認してください。
とくに、依頼者が当初主張していた債務の額を、任意整理などを通して減額できた場合には減額報酬が発生します。相場は債務減額分の十数%といわれ、債務が減額されるほど高額になる傾向です。
債務整理のよくある質問
ここでは、債務整理の際によく受ける質問について紹介します。
債務整理をした人は、どのくらいいますか?
年間で約55万人が債務整理をおこなっているといわれています。その中の約90%が任意整理を利用しています。任意整理の利用者数が多い理由は、裁判所を利用せずに債権者とやり取りできるためです。
債務整理費用はどれくらいですか?
債務整理の種類によっても金額は変わります。自己破産や個人再生の場合には、着手金と報酬金額合わせて50万円以上が相場です。
任意整理の場合は「着手金+報酬+減額報酬金(+実費)」で計算され、債権者の数が多いほど高額になる仕組みです。債権者1社における報酬の相場は5〜15万円程度。ただし司法書士は、報酬として受け取れる金額が1社につき5万円までと決まっています。
なお、任意整理を司法書士へ依頼する場合の費用については、以下の記事も参考にしてください。
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債務整理をするなら、弁護士・司法書士へ依頼しよう!
ひと言で債務整理といっても、その方法はさまざまです。自分が置かれている状況に合った方法を選びましょう。
手続きのなかには、個人で進められるものとそうでないものがあります。どのような手段を選択するのかも含めて、信頼できる弁護士や司法書士へ相談しましょう。
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