LINEを介してダイエットをサポートする、新たなサービスが注目されています。
たとえばLINEの友達登録だけで、手軽に使用できるサービスです。料金は無料で、毎日の体重の変化を簡単に記録できます。励ましてくれたりダイエットに関する豆知識を教えてくれたりするため、モチベーションを維持しやすいなどのメリットがあります。
しかし、中には高額商品を勧めてくるなど、怪しいサービスがあるのも事実です。購入してしまうと、返金や返品に応じてもらえないといったトラブルに巻き込まれる可能性があります。
そこでこの記事では、LINEを使った怪しいダイエット商品の販売手口や騙されないためのポイントを解説します。
怪しいダイエット商品の販売手口
「LINE」のチャット機能を使用して商品を販売すること自体は、なんの問題もありません。むしろ専門家のアドバイスを求めながらダイエットを実践することで、成功率を高められるでしょう。
しかし、カウンセリングで信用を得た後に、高額商品を売りつける業者が存在するため注意が必要です。具体的な手口は次の通りです。
- SNSやインターネット上で広告を発信
- 消費者が画面の案内に従い「先生」のLINEを追加
- カウンセリングの後「体質改善」効果のある商品を勧められる
- 購入すると「脂肪溶解」など、別の効果がある商品を次々と勧められる
「一度購入すれば、追加費用はかからない」と説明しておきながら、別の効果を持つ商品を勧めるのが特徴です。また「永遠にリバウンドしない」というように、保証できない事実を断定しているケースも多くあります。
これらは消費者契約法で定める「不実告知」と「断定的判断の提供」にあたり、契約を取り消せる可能性があります。
実際にあったトラブル事例
2021年9月以降「LINEメッセージで勧誘されて商品を購入させられた」という相談が、全国の消費生活センターに寄せられています。ここでは、実際にあった事例を紹介します。
最初に「一度で体質を改善するため、追加費用は不要」と説明し、5万円以上の商品の購入を促されます。商品の効果として、次のようなものが挙げられていました。
- あなた次第では、最大15kg痩せることができます
- 体質が改善された場合、毎日0.3~0.8kgの減量ができます
商品はお茶やコーヒーなど多岐にわたります。しかし効果の説明はあったものの、商品の原材料についての説明はなかったようです。商品を購入すると数日後には「脂肪を溶かす必要がある」と、20万円前後の商品を勧められます。
追加購入について事前説明がなかったことを伝えても「体質改善と脂肪溶解は別」と、痩せるためには商品の購入が必要だと勧誘を継続してきます。
これも購入してしまうと、今度は「体内の溶けた脂肪を排出する必要がある」として、さらに高額の商品を勧めてくるのです。途中で怪しいと感じて返金を求めても「専用に調合したもので、他の人は使用できない」などとして、応じてもらえないトラブルが確認されています。
詐欺まがいの業者の行為について、消費者庁は消費者安全法に基づき、注意を呼びかけています。
怪しいダイエット商品をLINEで購入しないためのポイント4つ
高額なダイエット商品を購入しないために気を付けるべきポイントは、次の4つです。
- 業者が掲載する体験談を鵜呑みにしない
- 少しでも怪しいと感じたら購入しない
- 誇大広告を信用しない
- 楽に痩せる方法は無いと再認識する
順番に見ていきましょう。
業者が掲載する体験談を鵜呑みにしない
業者のHPや広告には、商品を使用して痩せた人の体験談が掲載されていることがあります。確かに、商品を使用して痩せた人もいるかもしれません。しかし、痩せた理由が100%商品のおかげかどうかは、誰にもわかりません。
痩せる要因には生活習慣が大きく影響します。同じ時期に運動習慣を取り入れたり、食生活を改善していたりするかもしれません。
また、体質にも個人差があります。糖質やミネラルなどの栄養バランスが悪いことや、基礎代謝が低いことなど、痩せにくい原因は人によって違います。つまり、同じ商品を使用しても同様の効果が得られる保証はないのです。
体験談はあくまで個人的な感想であり、商品の科学的根拠にはなり得ません。「このお茶を飲んだら痩せた」というような言葉を鵜呑みにしないようにしましょう。
少しでも怪しいと感じたら購入しない
商品の購入に向けたやり取りをする中で、少しでも不安を感じたらすぐに購入しないようにしましょう。
SNSは情報を簡単に手に入れられるため、上手に利用すれば非常に便利です。しかし、信用できるアカウントかどうかの判断は慎重に行う必要があります。実在の事業者名を無断で使用していたり、アカウント名を変更して活動していたりするからです。
実在の事業者名の場合でも安易に信用せず、企業HP等で取り扱っている商品を確認しましょう。SNSのアイコンやIDが、企業のHPから遷移できるアカウントと同じかどうかも確認しておくとよいでしょう。
また、購入した製品を摂取した時期に下痢などの症状が出た事例も確認されています。ダイエット食品を購入する場合は、原材料が明記されているかも併せてチェックしましょう。アレルギー反応や副作用など、思わぬ健康被害の発生を防げます。
業者は言葉巧みに商品を購入させようとしますが、不審な点を感じたら毅然とした態度で断る勇気も必要です。
誇大広告を信用しない
「永遠にリバウンドしない」「このお茶を飲むだけで10kg痩せる!」といった広告は、楽に痩せたい人にとって魅力的です。
しかし、根拠のない誇大広告を事業者が発信することは「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」で禁止されています。
健康増進法の規制対象は「何人も」であり、販売事業者だけではありません。つまり、「食品健康アドバイザー」や「ダイエットトレーナー」といった肩書の人が勧めても、法律違反になり得るのです。
楽に痩せる方法はないと再認識する
ダイエットは、一朝一夕には成功しません。
食事制限や適度な運動、喫煙、飲酒などの生活習慣の見直しにより、初めて効果が出るものです。また、ダイエットは一度痩せたら終わりではありません。理想の体型を維持するには、継続できる方法で緩やかに体重を落とす必要があります。
過度な食事制限をすれば、確かに一時的には痩せられます。しかし、継続性のない方法で痩せたとしても、やめた途端に体重が戻ってしまうでしょう。
さらに、急激に痩せようとすると、かえって脂肪がつきやすい体質になりかねません。
努力せず、楽に痩せられるなら頼りたくなる気持ちはわかります。例えば、次のようなキャッチコピーが並んでいたら、思わず手を出したくなります。
- 寝ている間に勝手にダイエット!
- カロリーを気にしないって幸せ!
- 食べたカロリー・溜まったカロリーをなかったことに・・・
しかし、これらはいずれも明確な根拠を示しておらず、消費者庁に不当表示とみなされた広告です。
人間は消費エネルギーが摂取エネルギーを上回ったときに初めて痩せられます。また、1kgの脂肪を燃焼させるためには7,000キロカロリーが必要です。特定の食品を摂取するだけで得られるような効果ではありません。
無理のない食事制限や運動を取り入れることが一番の近道です。
怪しいと感じたら迷わず弁護士・司法書士に相談!
LINEを使用した怪しいダイエット商品の販売手口について解説しました。少しでも怪しいと感じたら購入を即決せず、友人や家族に相談しましょう。
購入してしまうと、何かと理由をつけて返金や返品に応じてもらえない可能性があります。解決の糸口が見えない場合は、司法書士や弁護士に相談してみるのもよいかもしれません。