投資詐欺にあってしまい不注意を自省しているけれど、必要なお金だったためどうしても取り戻したいと考える人もいるのではないでしょうか。
この記事では、投資詐欺で泣き寝入りしないために知っておきたいことと、相談先を詳しくご紹介します。
✓投資詐欺で泣き寝入りしないためには?
✓投資詐欺における返金手続き
✓投資詐欺の相談先
✓投資詐欺の被害実態
✓なぜ騙されるのか
投資詐欺で泣き寝入りしないためには?
投資詐欺で泣き寝入りしないためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
3つご紹介します。
第三者に相談する
金融庁が開設している「金融サービス利用者相談室」では、詐欺的な投資による被害を受けた場合の相談を受け付けています。
受付方法と対応時間は次の通りです。
項目 | 概要 |
受付時間 | (電話受付の場合)平日10:00~17:00
(Webサイトからの受付の場合)24時間 |
電話番号 | 0570-050588
(IP電話の場合)03-6206-6066 |
受付専用フォーム | 金融サービス利用者相談室 Webサイト受付窓口 |
「金融サービス利用者相談室」では、相談内容をヒアリングした上で他機関の紹介やアドバイスをしてくれます。しかし個別取引について、あっせん・仲介・調停を行うことはできません。
第三者に話をすることで、自分が受けた勧誘がどのようなものかを客観的に判断してもらえるため、詐欺的な投資勧誘を受けたと気づきやすくなります。
怪しいと感じる投資に勧誘されたら、まずは第三者に相談してみましょう。
投資詐欺被害の証拠を集める
詐欺的な投資勧誘を受けたとわかったら、民法上の欺罔行為(だます行為)をされたとわかるような証拠を集めましょう。
民法では、①相手にだまされて、②錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて財産を処分し、④金銭等を移転させられた場合、詐欺的行為が成立します。
投資詐欺のケースで例えると、相手にだまされて事実とは異なる情報を信じてしまい、情報料を支払う行為は、上記4つの要件を満たします。
参考に、集めておいた方がよい証拠には次のようなものがあります。
- 投資勧誘についてのやり取りのスクリーンショット
- 投資先からの請求書
- 金融機関への振込明細書
多くの証拠を集めるほど、投資詐欺の被害を回復しやすくなるでしょう。
相手の情報と投資の流れをまとめる
詐欺的な投資勧誘を行った相手の情報と、投資をしてしまった経緯をまとめておきましょう。
投資詐欺の被害を回復するために役立つ相手の情報は次の通りです。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- SNSのアカウントなど
また、やり取りのログから以下のようなことを時系列でまとめておきましょう。
- 相手と会った、もしくはやりとりした日時、回数、場所
- 投資をした経緯
- 投資金額
相手の情報や投資の流れを整理しておくことで、相談時にわかりやすく内容を伝えられます。
投資詐欺における返金手続き
投資詐欺における返金手続きには、以下のような種類があります。
項目 | 概要 |
クーリング・オフ | 一度契約の申し込みや契約を結んだ場合でも、一定の期間内であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、解約したりできる制度 (投資詐欺の場合対象外の勧誘方法を用いる場合もある) |
振り込め詐欺救済法における返金手続き |
|
民事訴訟 |
|
投資詐欺は返金されないと決めつけず、まずは手続きを行うことが大切です。
投資詐欺の返金方法については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
投資詐欺にあったと気がついたときに「返金されないのでは?」なんて不安を感じている人はいませんか? この記事では、投資詐欺で泣き寝入りしないために知っておきたい返金率や返金事例をご紹介します。 [afTag id=4390] ✓[…]
投資詐欺の相談先
投資詐欺の相談先として知っておいてほしいのは以下の2つです。
1つめは金融庁の金融サービス利用者相談室で、受付方法と対応時間は次のようになっています。
受付方法 | 対応時間 | 問い合わせ先 |
電話 | 平日10:00~17:00 | 電話番号:0570-016811 IP電話:03-5251-6811 |
FAX | 24時間 | FAX番号:03-3506-6699 |
Webサイト | 24時間 | 金融サービス利用者相談室 |
郵便 | ー | 〒100-8967 東京都千代田区霞が関3-2-1 中央合同庁舎第7号館 金融庁 金融サービス利用者相談室 |
2つめは法律の知識に長けた司法書士や弁護士です。
どちらも早急に連絡することで被害を最小限に出来る可能性が高まるため、投資詐欺ではないかと不安を感じたらすぐに相談しましょう。
投資詐欺の被害実態
投資詐欺による被害の実態とはどのようなものなのでしょうか。
被害にあった人の割合、事例、事件の3つの観点からご紹介します。
投資詐欺の被害にあった人の割合
参考:株式会社キュービック「投資詐欺に関するアンケートを317人に実施!初心者が被害に遭う現状があらためて浮き彫りに」
2021年6月に、一般社団法人金融リテラシー協会と株式会社キュービックは共同で、317人を対象に投資詐欺に関するアンケート調査を行いました。
アンケートで、投資詐欺または投資詐欺まがい商法の被害にあったことがあるかを聞いたところ、27.8%の人が「はい」と回答したのです。
このことから、投資詐欺にあい泣き寝入りをしないためにも、あらかじめ対処法や相談先について知っておくことが大切だとわかります。
投資詐欺の事例
警察庁では、警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページというホームページで最新のSNS投資詐欺の手口を公開し、注意喚起をしながら実際の事例も紹介しています。
被害金額の大きいものでは、1億円以上をだまし取られた70代男性の事例が印象的です。
男性はSNSで知り合った女性から暗号資産への投資を勧められ、取引アプリをダウンロードしました。
取引をする中で保証金や税金などと称して指定された口座に複数回にわたってお金を振り込むよう指示され、女性の話を信じた男性は、言われたとおりに振り込んでしまったのです。
多額のお金をだまし取られないためにも、SNSでしかつながりのない人とお金の話をするのは控えましょう。
投資詐欺に関する事件
2024年7月と9月に朝日新聞デジタルで、大阪市内に拠点を置くグループが引き起こしたSNS投資詐欺事件について報じられました。
この事件では男女合わせて19歳〜45歳までの97人が逮捕されましたが、その大半がSNSでメッセージを送る役割の「打ち子」だったのです。
グループはSNSを通じて投資の講師になりすまし、為替相場の上げ下げなどを予想して投資する「バイナリーオプション」についての指導料や、商材購入費の名目で現金をだまし取っていました。
拠点から押収されたスマホのメモ帳からは、相手を信じさせるための自己紹介や商材説明のテンプレートが見つかっています。
この事件では10代〜40代の不特定多数の人が狙われていたため、詐欺的行為のターゲット=高齢者と考えて油断してはいけません。
なぜ騙されるのか?
人は投資詐欺に、なぜ騙されるのでしょうか。
理由として考えられることを3つご紹介します。
投資詐欺の手口が多岐に渡るため
投資詐欺の手口は多岐に渡り、今までの事例から次のようなものがあるとわかっています。
項目 | 概要 |
未公開株への投資を促す手口 | ある企業の株についてもうすぐ上場予定であり、安いうちに購入しておいて上場後に売れば価格が上がった分だけ儲かると投資を促す |
外国通貨への投資を促す手口 | 将来的な経済成長が見込める発展途上国の通貨を買っておけば、将来値上がりするので利益が得られると投資を促す |
権利への投資を促す手口 | 風力発電、太陽光発電、HIV、iPS細胞など、その時注目されている新しい技術やそれに関する土地の権利、知的財産権への投資を促す |
プロ向けファンドへの投資を促す手口 | 一般投資家には投資できない「プロ向けファンド」に投資するよう促す手口 |
プロ向けファンドは本来、金融商品取引法で一定の要件を満たさない一般投資家に売ることは禁止されています。
投資に詳しくない人がこれら全ての手口を把握するのは難しいため、騙されてしまう人も出てくるでしょう。
次々と新しい手口が生まれるため
警察庁では、警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページというホームページで最新のSNS投資詐欺の手口を公開しています。SNS投資詐欺とともに新しい手口として紹介されているのが、SNS型ロマンス詐欺です。
SNS型ロマンス詐欺では、SNSなどで出会った相手から結婚資金の調達などを目的に暗号資産の購入や架空の投資などを勧められ、お金をだまし取られてしまいます。
だまされる側は、相手との関係性を恋愛的なものだと思っているため、投資詐欺だと気づきにくいのが特徴的だと言えるでしょう。
詐欺に警戒している人でも、新しい詐欺の手口について常に情報収集するのは難しいため、騙されることがあります。
高齢者が狙われるため
参考:金融庁「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(年齢別内訳)
金融サービス利用者相談室への相談件数を見ると、60代以上の高齢者の相談件数が612件と全体の約26%を占めているのがわかります。
このことから高齢者の判断力や理解力の低下につけこみ、投資詐欺への勧誘が行われている実態が垣間見えます。
高齢者の行動を家族や周囲の人が全て見守るというのは難しいため、一定数の人が騙されてしまうのかもしれません。
まとめ
投資詐欺で泣き寝入りしないためには、第三者に相談して客観的に詐欺かどうかを見極めた後、早急に証拠を集めて返金手続きに取り掛かることが大切です。
この記事も参考にして、ぜひ投資詐欺の手口や相談先について知識を深めてみてください。