ECサイトが普及するなか、クレジットカードの不正利用が増えていることを知っていますか?
クレジットカードが悪用されると、チャージバックが発生するケースがあります。
今回は、チャージバックの仕組みや発生原因について解説します。また、チャージバックが発生した際の具体的な流れもご紹介。クレジットカードの悪用を避けたい方やチャージバックの方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
✓チャージバックが増加する原因
✓クレジットカードが悪用される理由
✓クレジットカードが悪用される際の主な手口
チャージバックの仕組みとは?
チャージバックとは、クレジットカードの利用者が特定の取引に異議を申し立て、クレジットカード会社が取引金額を返金する仕組みのことです。消費者を不正利用による請求から保護するための仕組みであり、取引に関する問題が発生した場合に利用されます。しかし、この仕組みは消費者保護に寄与する一方で、悪用されてしまうケースも存在します。
チャージバックが増えている原因
チャージバックの発生には、さまざまな原因があります。
まずは、近年チャージバックが増えている主な原因からみていきましょう。
インターネット取引市場の拡大
チャージバックが発生する背景には、インターネット取引市場の拡大があります。
総務省が発表する2021年度のインターネットサービスの利用状況をみると、73.4%がインターネットショッピング(※1)と回答。また、インターネットで購入する際の決済方法においては、79.8%がクレジットカード払い(※2)と回答しています。ECサイトにおけるクレジットカードの利用者の増加が、そのままチャージバックの増加につながっていると言えます。
※1:総務省「デジタル利用環境・サービス等の活用状況」
※2:総務省「インターネットの利用状況」
国際チャージバックルールの導入
チャージバックの増加は、チャージバックに関する国際ルールが導入されたことも原因と言えます。国際ルールではクレジットカード会社の判断によって、不正利用に対する支払いの拒否が可能とされています。従来のように、クレジットカード会社と加盟店の間で協議する必要がありません。
そのためクレジットカード会社は、不正利用が疑われる決済について、その場でチャージバックできるようになりました。
クレジットカードの不正利用の増加
チャージバックの発生原因の一つとして、クレジットカードの不正利用もあります。クレジットカードの不正利用とは、第三者がそのクレジットカードを無断で使用することです。
不正利用には物理的にクレジットカードを盗んで使うだけでなく、被害者の名義といった「情報」を盗み、悪用する行為も含まれます。ECサイトでの取引において、クレジットカード番号が盗用されるケースが増加しています。
クレジットカードはなぜ悪用される?
クレジットカードが悪用されるのには、以下のような原因があります。
- 本体の盗難や紛失
- 情報漏洩や流出
上記2つを踏まえて、悪用につながる流れをみていきましょう。
クレジットカード(本体)の盗難や紛失
財布やバッグが盗まれることで、クレジットカード本体が第三者の手に渡り、不正利用される可能性があります。クレジットカードの裏面には、3桁や4桁のセキュリティコードが記載されています。
しかし、クレジットカード本体を盗まれてしまえばセキュリティコードも確認されるため、容易に不正利用されてしまいます。
クレジットカード情報の漏洩や流出
クレジットカードの不正利用には、情報漏洩や流出もあります。情報漏洩とは、企業やサービスプロバイダーのデータベースから、顧客情報が不正に流出することです。情報が第三者の手に渡ると、クレジットカードの不正利用が発生する可能性が高まります。
クレジットカードの情報を悪用する手口
次に、詐欺的行為によってクレジットカードの情報が悪用される、具体的な手口を紹介します。
クレジットマスターアタック
クレジットマスターアタックとはクレジットカードの番号を推測することで、不正に利用する手口です。クレジットカード番号は特定の法則に従って生成されるケースが多く、会社ごとに番号の先頭が決まっています。これらの情報を手がかりに推測された番号を使って、有効なクレジットカード番号を特定します。
クレジットマスターアタックは、高度な技術を駆使して行われる不正行為と言えるでしょう。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは信頼性の高い組織や個人になりすまし、偽サイトやメールを通じて、個人情報やクレジットカード情報を取得する行為のことです。
偽サイトのログインページに個人情報やクレジットカード情報を入力することで、情報を相手に渡してしまい、被害につながります。
スキミング
スキミングは、クレジットカードの磁気ストライプに記録されているデータを不正に読み取る行為のことです。スキミング装置は、ATMやガソリンスタンドの支払い機、無人販売機などに取り付けられている傾向があります。
スキミングによって集めた情報は、クローンカードの作成やオンラインショッピングでの不正利用に使われることが多く見受けられます。
悪用によるチャージバックが発生した際の流れ
クレジットカードの不正利用によってチャージバックが発生した場合は、適切な手順を踏んで迅速に対応することが重要です。
クレジットカード会社へ連絡する
不正利用が発覚した際は、すぐさまクレジットカード会社へ問い合わせましょう。カード会社に連絡して利用停止の旨を伝え、さらなる被害を防ぐ必要があります。その後、チャージバックの申請を行います。具体的な手続きはカード会社によって異なるため、各社の指示に従いましょう。通常は、不正利用に関する詳細な情報や証拠を提供する必要があります。
警察で被害届を提出する
クレジットカード会社へ連絡後、不正利用に関する詳細な情報を整理し、警察に被害届を提出します。被害届には、不正利用の日時や場所、金額、取引内容などを記載するのが一般的です。事前にクレジットカード会社から情報を集めておくとスムーズでしょう。
専門家に相談する
クレジットカードの不正利用によってチャージバックが発生した場合は、専門家に相談するのがおすすめです。チャージバックを申請するためには、不正利用であることをクレジットカード会社に認めてもらう必要があります。その際、クレジットカードの保管状態も追求されやすく、利用者の落ち度と判断されてしまう可能性もあります。司法書士・弁護士に相談し、不正利用を証明できる情報を揃えましょう。
チャージバックが発生しやすい商材やECサイトは?
チャージバックが発生しやすい商材やECサイトには、いくつかの特徴があります。不正利用者は、手に入れた商品を転売する傾向があります。
特に以下のような商品は、高額商品や現金へ還元しやすいことから、転売目的に購入されやすいです。
- 電子機器(スマートフォンやタブレット)
- ゲーム機
- ブランド品
- ジュエリー
- 旅行関連商品(航空券やホテルの予約)
デジタル商品を扱うサイトも注意が必要です。ソフトウェアや電子書籍、音楽、映画などのデジタルコンテンツは即時に提供されるため、チャージバックのリスクが高い傾向があります。サブスクリプションサービスやクラウドサービスなどのオンラインサービスも、物理的な商品が存在しないため注意してください。
クレジットカードを悪用されにくいECサイトの特徴
クレジットカードの悪用を防ぐためには、買い物をするECサイト選びも重要です。
最後に、クレジットカードを悪用されにくいECサイトの特徴を紹介します。
セキュリティコード認証を設定している
セキュリティコード認証を設定しているECサイトは、クレジットカードを悪用されにくい傾向にあります。
セキュリティコード認証は、クレジットカード情報の不正利用を防ぐために有効な方法です。セキュリティコードがないとオンライン取引ができないように設定されているため、クレジットカード番号だけでは不正利用できません。
不正検知システムを取り入れている
不正検知システムを取り入れている場合も、クレジットカードを悪用されにくいECサイトと言えるでしょう。
不正検知システムとは不正な取引をリアルタイムで検出し、被害を未然に防ぐツールのことです。購入パターンから逸脱した取引を検出し、不正利用を予測します。
不正利用を検出した場合は即座にアラートを発し、取引を保留または拒否します。カード情報が盗まれてしまった場合でも、悪用につながりにくいでしょう。
本人認証サービスを活用している
本人認証サービスを活用しているサイトも安全と言えます。本人認証サービス(3Dセキュア)は、オンライン取引のセキュリティを強化するための認証手段です。
取引時にクレジットカード発行会社が提供する追加のパスワードやワンタイムコードを入力して本人確認を行うため、悪用リスクが低いとされています。
クレジットカード悪用によるチャージバック回避を目指す!
チャージバックは、クレジットカードが悪用されることで起きるケースがあります。セキュリティ強化によって被害を防げるかもしれません。
丹誠司法書士法人では、不正利用によるチャージバックが発生した方へ向け、ご提案や対応を行なっております。速やかにご相談いただくことで、被害の回避や負担額の軽減につながります。
無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。