「お茶を飲むだけで1ヶ月に15kg痩せます!」
「永遠にリバウンドしないダイエット!」
「一度で体質改善できるから、追加料金を支払う必要はありません!」
このような誘い文句で「痩せるお茶」の購入を勧められた場合、ダイエット詐欺の可能性があります。
本記事では、消費者に「痩せるお茶」の購入を勧める手口や騙されて購入してしまったときの相談先、詐欺被害にあわないためのポイントを解説します。
✓アプリを使った「痩せるお茶」の販売手口
✓騙されたと気づいたときの相談先
✓詐欺業者に引っかからないための予防策
リバウンドせずに痩せるお茶等を売りつける「ダイエット商法」とは?
ダイエット商法とは、SNS広告等を経由して痩身効果をうたう製品を購入させる詐欺のことをいいます。
商品の効果や性能について訴求する場合は裏付けとなる合理的な根拠が必要ですが、詐欺業者は「お茶を毎日飲むだけで痩せる」「パッドを体に貼るだけで体重減」といった誇大表示を行うのが特徴です。
最初は「一度購入すれば追加購入の必要がない」と説明しながら、さまざまな理由をつけて別の商品を購入させようとするのがよくあるパターンです。
2021年9月以降、全国の消費生活センターでは「返金されない」など、「痩せるお茶」を含むダイエット詐欺に関連した商品の相談が多数寄せられており、販売事業者に関する注意喚起が行われています。
消費者庁では、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為として、詐欺業者に対して2つの問題点を挙げています。
- 不実告知:
一度購入すれば追加費用なしで痩身効果が得られるかのように勧誘しながら、実際は別の商品の追加購入を迫っていた - 断定的判断の提供:
「永遠にリバウンドしない」など、得られた減少効果が確実に維持されると説明していたが、体重の増減は個人の食生活や運動習慣によって左右されるため、製品の効果は不確実である
怪しい「痩せるお茶」の販売手口
最近はメッセージアプリを使って「痩せるお茶」を販売する手口が相次いでおり、いずれも大まかなパターンは共通しています。
典型的な手口を押さえておけば「何かおかしい」といった違和感に気づき、被害を回避できる可能性が高まります。ここでは、詐欺業者がよく使う手口を紹介します。
1.SNS等の広告からチャットに誘導
SNSやWebサイト上でダイエットに関する広告が表示され、クリックするとメッセージアプリの友だち追加を促されます。
友だちに追加すると「食育健康アドバイザー」「オンラインダイエット指導」などを名乗るアカウントから、すぐにカウンセリングメッセージが届きます。
2.「15kg痩せます」などの誘い文句で製品の購入を勧誘
事業者からのメッセージでは「状況に合わせてダイエットプランを立てる」との名目で身長や体重、年齢、性別などを聞かれます。
質問に回答すると、下記のような誘い文句で5~8万円の高額製品の購入を促してきます。
- 15kg痩せられる
- 永遠にリバウンドしない
- 食事制限や運動が不要
- 飲むだけで痩せられる
製品の種類は痩せるお茶の他にも、錠剤やオイルなどがあります。
「ダイエットの成功例」として他人のビフォーアフター画像が送られてきたり、「あなたの状況に合わせて成分を調整した製品を作る」と言われたりすることもあります。
ダイエット詐欺は、痩身効果に関する合理的な根拠がないにもかかわらず、消費者の体型の悩みにつけ込み「楽に痩せられるかも」と信じ込ませるのが共通の手口です。
消費者が購入の意思を伝えると、「代金引換」か「元払い(※)」で料金を支払うよう伝えてきます。
※クレジット決済もしくは銀行振り込みです
3.さまざまな理由をつけて追加購入を勧誘
追加購入について尋ねると、事業者は「一度で体質を改善するため、追加費用は不要」などと説明します。しかし、購入した製品の摂取から数日後には「脂肪を溶かす必要がある」などと追加購入を促し、初回の約3倍にも及ぶ高額商品を購入させようとしてきます。
消費者が「追加費用は不要と聞いていた」と伝えると、下記のようにたたみかけてくるのです。
- 体質改善には追加料金が必要ないが、脂肪を溶かすには別料金が必要です
- 体質改善成分と脂肪を溶かす成分は違います
- 脂肪を溶かして体外に排出すると、体重は毎日0.4~0.6キロ減少します
つまり、痩身効果を得るには「体質改善をうたう製品」だけでなく「脂肪溶解をうたう製品」を購入する必要があると説明してきます。消費者が「脂肪溶解をうたう製品」を追加購入すると、今後は「脂肪排出をうたう製品」を購入するよう勧誘してきます。
騙されて、痩せるお茶を購入してしまったときの相談先
お茶の効果がなく事業者に返金や返品を求めても「オリジナルの調合である」「ほかの人が飲めない」として返金・返品対応されないことがあります。
こういった場合は、一人で悩まずに消費生活センターや警察の相談ホットラインへ連絡しましょう。
- 消費者ホットライン(最寄りの消費生活センター等を案内):電話番号188
- 警察相談専用電話:電話番号#9110
消費生活センターや警察の相談窓口では、詐欺まがいの悪徳業者とのトラブル解決に向けた助言をしてくれます。騙されて購入してしまった商品をクーリング・オフしたい、お金を返してほしいという方は、司法書士・弁護士への相談もおすすめです。
「リバウンドしないダイエット」「飲むだけで痩せるお茶」と謳う商品を買わないためには?
ここからは、お茶をはじめとした、効果の疑わしい高額なダイエット製品から身を守るための予防策を4つ紹介します。
食事制限・運動なしに楽して痩せることはないと心得る
「ダイエットで理想の体型を手に入れたい」「身体を引き締めて若々しく見られたい」といった気持ちは、男女問わず多くの人が抱いている願望です。
また、これまでの経験で「痩せるには食事制限や運動などの努力が必要」だと知っているからこそ「できれば楽に痩せたい」と考えるのも自然です。
しかし私たち人間は、食事によって得られる「摂取エネルギー量」が身体活動によって使われる「消費エネルギー量」を下回らない限り痩せません。
つまり食事制限や運動なしに痩せることは難しいため、合理的な根拠なく「飲むだけで痩せるお茶」とうたっている製品を安易に買わないようにしましょう。
体験談・マウスなどの試験結果を鵜呑みにしない
ダイエット製品の広告に体験談や動物実験の結果が記載されていても、信用できるとは限りません。
「このお茶を飲んだら10kg痩せられました!」といった体験談は訴求力が高いゆえに、捏造(ねつぞう)されている可能性があります。
捏造ではないとしても、個人の体験談は科学的根拠にはなりません。
ある人が「お茶を飲んで痩せた」と感じても、痩せた理由が「お茶の効果によるもの」という証明にはならないためです。単なる偶然の可能性もあれば、生活習慣の変化やストレス、病気などほかの理由で痩せた可能性もあります。
また、マウスなどの動物を使った試験で効果を確認できたとしても「人間にも同様の効果が期待できる」という根拠にはなりません。
動物と人間は身体のつくりや代謝の仕組みが異なるため、動物実験の結果がそのまま人間に当てはまるとはいえないためです。
販売者とのやりとりで不審な点があれば購入を再検討する
販売者とのやりとりで「なにか違和感がある」「おかしいな」と感じたら、購入を慎重に検討しましょう。
消費生活センターに寄せられた相談では、事業者とのやり取りで以下のような不審点が報告されています。
- 販売者の実体や素性がわからない
- チャットメッセージの最初の挨拶以降は、カタコトの日本語になる
- 飲料にもかかわらず、原材料に関する説明がない
- 「永遠にリバウンドしません!」など、確証が持てないことについて断定的に説明する
- 「食事制限や運動は不要」「15kg痩せられます」など、簡単に痩身効果が得られるような説明をする
製品を摂取した消費者のなかには、下痢などの症状が出た事例も確認されています。ほかにも、思わぬ健康被害が生じる可能性があるため、身元がはっきりしない事業者には注意が必要です。
また、アカウント名が実在する事業者名でも「なりすまし」である可能性があります。
「実在の事業者と取扱品目は同じか」「事業者の公式サイトから登録できるアカウントと、ダイエット製品の販売業者のアカウント画像が同じか」などを確認しましょう。
「絶対に痩せる」など消費者を騙す誇大広告を信じない
「飲むだけで15kg減量!」「絶対に痩せる!」といった誇大広告を簡単に信じないことが重要です。
商品やサービスに関する虚偽や大げさな表示を「不当表示」といい、健康増進法によって禁止されています。
(誇大表示の禁止)第六十五条何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
引用元:e-GOV法令検索
商品名を明示しなくても特定の商品の購入を勧めれば規制の対象になり、広告だけでなく口頭での勧誘も該当します。また、健康増進法は「何人も」虚偽誇⼤表⽰をしてはならないと定めています。
商品の販売事業者だけでなく「⾷品として販売に供する物に関して広告その他の表⽰をする者」は誰でも規制の対象となります。
つまり、販売事業者だけでなく「アドバイザー」を名乗る人物も、自分のSNSやブログで商材を扱う「アフィリエイター」も誇大表示をしてはいけないということです。
また、合理的な根拠のない効果をうたう誇大広告、大げさな表現で消費者を騙すような表示は景品表示法違反にもなります。
「お茶を飲むだけのリバウンドしないダイエット」という言葉に惑わされないでください!
消費者の悩みや体型のコンプレックスにつけ込み「お茶を飲むだけで、15kg痩せられます!」「絶対にリバウンドしないダイエット法です」と勧誘してきます。
一度製品を購入した場合、別の高額商品の購入を次々と勧めるのもよくある手口です。
騙されないためには、根拠のない痩身効果をうたう広告や体験談を鵜呑みにせず、「販売者を信頼できるか」「原材料ははっきりしているか」などを冷静に確認することが大切です。
「詐欺にあっているかも」と感じた場合は一人で悩まず、早めに司法書士や弁護士へ連絡しましょう。状況に応じたアドバイスがもらえるはずです。