自分の特技を生かして副業に取り組みたいけれど、あやしいもうけ話を多く見かけるので、何かあった時の対処方法を知っておきたい人はいませんか?
この記事では、副業詐欺にあったときの警察への相談方法から警察で解決できなかった場合の対処方法まで詳しく解説します。
✓副業詐欺にあったときに相談する警察の窓口
✓副業詐欺は警察が解決できるのか、できなかった場合の相談先はどこなのか
✓副業詐欺にあって、泣き寝入りしないための方法
副業詐欺で警察に相談する前の準備
副業詐欺で警察に相談する前の準備を4STEPでご紹介します。
【STEP1】支払いをやめる
副業詐欺にあったとわかった時点で相手方への支払いをやめましょう。
支払いを続けても商品を受け取ったり、サービスが受けられたりすることはなく、被害金額が大きくなってしまうためです。
請求が来るのでこわいと感じることもあるかもしれませんが、無視して冷静な対応を心がけましょう。
【STEP2】銀行やクレジットカード会社に連絡する
支払い方法ごとに以下のような手続きができる場合があるため、銀行やクレジットカード会社に連絡をしましょう。
支払い方法 | 手続き内容 |
銀行振込 |
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クレジットカード支払い |
|
(※)クレジットカード会社が、加盟店に対して支払いの取り消しや返金を要求する制度であり、一括払いの場合に利用できます
一般社団法人日本クレジット協会のホームページに「支払い停止の抗弁に関する手続きのご案内」という参考資料が掲載されていますが、内容に目を通して手続きに不安があれば法律の専門家に相談しましょう。
【STEP3】クーリングオフの手続きをする
副業詐欺にあった場合、クーリングオフ制度が適用されることがあります。
警察に相談する前にクーリングオフの申請をして成立すれば、被害が回復できるでしょう。
クーリングオフ制度の概要をご紹介します。
クーリングオフとは
クーリングオフは、特定商取引法に基づいた制度です。
一度契約の申し込みや締結をした場合でも、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできます。
2022年6月1日から書面だけではなく次の媒体でもクーリングオフが可能となりました。
- 電子メール
- USBメモリ
- 業者のクーリングオフ専用フォーム
- FAX
申請書類を手書きで作成するのはハードルが高いと感じる人は、上記のうち自分の使いやすい媒体でクーリングオフを申請するとよいでしょう。
クーリングオフができる取引と期間
クーリングオフができる取引と期間は次の通りです。
期間 | 取引の具体例 |
8日間 |
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20日間 |
|
上記の取引でも条件によってはクーリングオフができない場合もあるため注意しましょう。
クーリングオフの手続き
クーリングオフの手続きをする手順は以下の通りです。
- クーリングオフの書面や各媒体に契約年月日、契約者名、契約名、契約金額、クーリングオフの通知を発した日などを記載する
- 前の項目で紹介した期間内に先方に通知する
- (クレジット契約をしている場合)販売会社だけではなくクレジット会社にも同時に通知する
クーリングオフについてさらに詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
【STEP4】証拠を揃える
副業詐欺にあった証拠として提出できるものは次の通りです。
- 契約書
- 重要事項説明書
- 振込明細
- クレジットカードの利用明細
- 業者からのメールや電話の履歴(手口や登場人物がわかるもの)
- 業者の住所、電話番号、ホームページのURL、広告など
ホームページや広告などは消されても大丈夫なように、キャプチャを残しておくのが望ましいでしょう。

副業詐欺にあった時の警察の相談先
警視庁では、犯罪や事故はまだ発生していないけれど困りごとや不安に思うことが起こった時の相談先として「警察相談ダイヤル#9110」を設けています。
副業詐欺にあった場合だけではなく、まだ自分では副業詐欺の被害にあったかどうか判断がつかない場合でも、「警察相談ダイヤル#9110」に電話をかけて相談すると、相談内容に応じた相談窓口を教えてくれるのです。「警察相談ダイヤル#9110」の概要は次の通りです。
項目 | 概要 |
受付時間 |
|
通話料 |
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ダイヤル回線や一部のIP電話からの架電で利用できない場合 |
|
相談は最寄りの警察署でも直接受け付けてもらえるので、近所に警察署がある場合は足を運んでみるのもよいでしょう。
副業詐欺を警察で解決できるか
副業詐欺の場合、警察に相談したとしても必ずしも解決に向けて動き、返金まで導いてくれるとは限りません。
明確な犯罪行為がない限り、契約当事者間で合意した内容に警察が介入することはできないという「民事不介入の原則」があるためです。
民事不介入の原則は法律に明記されていませんが、警察法第二条第二項がその根拠だとする説もあります。
もし前の項目のSTEP4でそろえた証拠の中に、犯罪を立証できるものや犯罪性が高いと判断できるものが含まれていれば刑事事件扱いとなるので、警察が動いてくれる可能性は高くなりますが、あまり期待するのは望ましくないでしょう。
副業詐欺を警察が解決できなかった時の相談先
副業詐欺を警察が解決できなかった時は、どこに相談すればよいのでしょうか。
2つご紹介します。
司法書士や弁護士
司法書士や弁護士に相談すると、前の項目でご紹介した「支払い停止の抗弁」「クーリングオフ」などの手続きがスムーズに進むでしょう。
事務所によって専門分野が異なるので、口コミなども調べ副業詐欺の分野で実績のある事務所を選んで依頼するのがおすすめです。
また、実績があっても円滑にコミュニケーションが取れるかどうかは見極めが必要なので、無料相談があるならまずお試しで話をしてみましょう。
なお、以下の記事では副業詐欺における返金の方法や、その可能性についても解説しているため、あわせて参考にしてください。
全国の消費生活センター
都道府県、市町村にはそれぞれ消費生活センターがあるので最寄りのセンターを探して相談するのもよいでしょう。
独立行政法人国民生活センターのホームページには、各地域の消費生活センターについて、以下の情報が記載されています。
- 所在地
- 電話番号
- 受付時間
- お願い
「お願い」には相談についてのルールが記載してあるので、あらかじめ目を通しておきましょう。

副業詐欺で泣き寝入りをしないためには?
副業詐欺で泣き寝入りをしないためには、日頃からどのようなことをしておけばよいのでしょうか。
5つご紹介します。
SNS詐欺の種類を知っておく
副業詐欺はSNSを通じて行われることが多いですが、SNS詐欺の種類や最新の手口を知っておくと、話を持ちかけられても詐欺的行為にあいにくくなるでしょう。
例えば警察庁のホームページには、副業詐欺について次のような手口があり、家族や友人、警察に相談してくださいと注意喚起されています。
- 知らないSNSアカウントからメッセージでもうけ話を持ちかけられた
- 勝手にグループチャットなどに招待された
- 投資に勧誘され投資アプリをインストールするよう促された
- 投資に勧誘しているのは無登録の業者だった
- 稼いだお金を引き出すのに事前説明のない手数料が必要だと言われた
金融商品取引等について必要な登録をしている業者かどうかは金融庁のホームページで確認できます。
時間の経過とともに詐欺的手法は巧妙になっていくので最新情報を知っておき、何かあれば周囲の人や警察に相談してみるのが大切です。
副業における消費者トラブルを知っておく
独立行政法人国民生活センターのホームページでは、副業におけるよくある消費者トラブルについての情報を以下のように記載し注意喚起を行っています。
- 海外に所在するとしている業者が、無登録で国内の消費者に対して勧誘を行いトラブルになるケース
- 無登録業者がセミナーやSNSなどを通じて若い人に投資話を持ち掛け、消費者金融などから借り入れをさせて投資させトラブルとなるケース
- 暗号資産で海外事業者に投資をすれば大儲けできると勧誘し、配当や預かった暗号資産の払い戻しに応じずにトラブルとなるケース
まずは登録業者であるかどうかを確認し、契約をしないならきっぱりと断るのがよいでしょう。
もし怪しいと思うことがあれば、消費者ホットライン「188」に電話し相談するのもおすすめです。
消費者庁の注意喚起に目を通す
消費者庁のホームページでは、たびたび副業詐欺についての注意を促しています。
2022年04月13日には、2019年〜2021年は「LINEで簡単な作業をするだけで誰でも1日数万円稼げる」と勧誘され、副業のマニュアルを購入させられる事例が多かったと記載されています。マニュアルを購入させるまでの流れは次の通りです。
- リスティング広告で副業のランキングサイトに誘導する
- 育児中の母親と名乗る者のLINE アカウントに誘導する
- 簡単な作業で稼げる副業を紹介すると、勧誘される
- 副業をするためにはマニュアルが必要だと言われ2万円前後の支払いをするよう求められる
- 支払いを督促されることもある
似た手口で怪しいと感じたら消費者ホットライン「188」に電話し相談しましょう。
国民生活センターの相談事例を読む
独立行政法人国民生活センターのホームページには、副業詐欺の相談事例が紹介されています。そのうちの1つをピックアップして紹介します。
- アフィリエイトで簡単にもうかるというWeb広告を見て、約3,000円のマニュアルを購入(マニュアルには多数の有料プランが記載)
- 事業者から有料プランに入らないともうからないことと、高額なプランほどサポートが充実していると電話勧誘される
- 約60万円のプランを契約しブログを書いたがもうからず、事業者とも連絡が取れなくなる
国民生活センターでは事例を基に次のような注意喚起をしています。
- 「簡単」「もうかる」といった言葉をうのみにしない
- 作業の内容や利益が出る仕組みが明確でなければ契約をしない
- 怪しいと感じたら早めに消費者ホットライン「188」に相談する
メリットのみを強調する勧誘に踊らされないよう注意しましょう。
被害者が書いた記事を読む
副業をしている人がよく利用しているブログサイト「note」で「副業 詐欺」と検索すると、実際に被害に合った人の体験談を読むことができます。
副業をしている人の経済的不安を利用して、海外から仕事を依頼するふりをして専用の支払いポータルサイトへと誘導し、サイトの登録料金、手数料などの名目で金銭を要求するといった最新の手口から、被害者が精神的にどのように立て直したかまで詳しくわかります。
副業詐欺の流れだけではなく、被害者の心情まで含めて理解したい人は目を通しておきましょう。
当事務所に依頼された相談事例も併せて読みたい方は、次の記事もご覧ください。
丹誠司法書士法人では、詐欺被害に関するさまざまなご相談・ご依頼をいただいております。 その中から、実際にご依頼いただいた事件の被害回復事例について、ご紹介いたします。 依頼者情報 相談内容 Lさんは副業を探しており、web上で見[…]

まとめ
副業詐欺の場合、警察に相談したとしても民事不介入の原則があるため必ずしも解決に向けて動き、返金まで導いてくれるとは限りません。しかし詐欺的行為に気づいた時点で早急に支払いをやめ、クーリングオフや証拠をそろえるといった準備をして司法書士や弁護士に相談をすれば、被害を最小限におさえることができます。
この記事も参考にして、ぜひ副業詐欺にあっても泣き寝入りをせず適切な対処をしてみてください。