「芸能事務所と契約したけれど、所属前の説明と所属後の状況が1つも合っていない…」と悩んでいる方はいませんか?
タレントやモデルは多くの人が憧れる職業であるため、スカウトされると期待してしまうでしょう。
しかし、悪徳な事務所が被害者に商品の購入やレッスンの受講などを促し、高額な費用を請求するケースも少なくありません。
本記事では、悪徳な事務所がよく使う手口や、被害を未然に防いで自分の身を守るための対処法について解説します。
また、万が一契約を結んでしまった場合に備えて、契約を解除する方法もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 悪徳業者の巧妙な手口と被害要因
- 横行しているタレントモデル商法の被害事例
- 被害を未然に防ぐ具体的な対処法
- 万が一に備えた契約解除方法と相談先
タレントモデル商法の概要を解説
タレントモデル商法とは、芸能界デビューを夢見る人をターゲットに、高額な契約金やレッスン料を支払わせ、金銭を騙し取る手口を指します。
「テレビに出られる仕事を紹介する」「歌手としてデビューしませんか?」などと、悪徳な事務所が将来を夢見るターゲットに対して芸能デビューを口実にスカウトします。
そして、事務所所属を口実に契約を迫り、高額な費用を騙し取ります。
表向きはタレントを育成する事務所に見えても、実際には金銭搾取を目的としているケースも多く、十分に注意が必要です。
オーディション商法との違いとは?
タレントモデル商法とオーディション商法は似ていますが、きっかけに違いがあります。
オーディション商法では、被害者自身がSNSなどの広告からの応募をきっかけに、「落ちることのないオーディション」に合格させられたうえで、レッスン料や事務所登録費用、宣材写真の撮影費などの名目で高額な費用を請求されます。
一方、タレントモデル商法では、被害者が街頭やSNSで悪徳な事務所から直接スカウトを受け、事務所所属を口実にオーディション商法と同様に不当な契約を強いられます。
最近では、スカウトの後にオーディションを受けさせ、事務所所属時に高額な費用を請求する、タレントモデル商法とオーディション商法を混ぜた手口も横行しています。
タレントモデル商法の実態
タレントモデル商法の被害者は、約7割が20代女性です。
これは、モデルや歌手、エキストラなどの仕事が、男性に比べて女性の方がスカウトの口実を作りやすい傾向があるためと考えられます。
被害金額は2021年時点で平均42万円にのぼり、中には100万円以上騙し取られるケースもあります。
悪質な事務所は、若者の夢や憧れにつけ込み金銭を搾取するため、特に若年層は注意が必要です。
以下の記事では、オーディション詐欺にあった際に返金を受けるための方法などについて解説していますので、ぜひご覧ください。
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なぜタレントモデル商法に引っかかってしまうのか?被害要因と手口を紹介
若者が憧れや将来への強い希望を抱いていることに加え、SNSの普及もタレントモデル商法の被害が拡大している大きな要因と考えられます。
悪徳な事務所の巧妙な手口に、若者が気づかないまま高額な契約を結んでしまうケースも少なくありません。
本項では、こうした被害が起こる背景と手口について解説します。
若者が狙われる?被害要因を解説
タレントモデル商法では、夢や憧れを抱く若者が主なターゲットです。
夢を叶えたいという一心で行動していると、視野が狭くなり、冷静な判断力が欠けたりすることがあります。
悪徳な事務所はその隙を見逃さずに勧誘してくるのです。
また、若者が悪質な事務所から狙われやすくなっている背景には、SNSの普及も要因の1つとして考えられます。
SNSの普及により、誰でも簡単に情報を発信できるようになり、これまで接点のなかった人ともDMなどのチャット機能を通じて気軽にコミュニケーションが取れる時代になりました。
その一方で、悪質な事務所もSNSを通じてターゲットに接触しやすくなっているため、若者がタレントモデル商法の勧誘に巻き込まれるリスクは高まっています。
実際に使われる勧誘の手口とは?段階を解説
横行している勧誘の手口は以下のとおりです。
- 「モデルに向いてる」と甘い言葉でスカウトを受ける
- 「説明は後日」と言われ、詳細を聞かないままアポイントが決まる
- 説明当日に、宣材写真や登録料、レッスン料などの高額な費用を請求される
悪徳な事務所がターゲットに考える時間を与えないのは、冷静な判断力を奪うことが目的です。
事務所所属の提案を受けた場合は、その場で契約を交わすことは避け、必ず一度持ち帰って冷静に考える時間を確保しましょう。
落ち着いた状態で契約内容を見直すことで、不自然な条件や、事務所側の説明に潜む矛盾点に気づける可能性があります。
【被害事例】よくあるタレントモデル商法のトラブルを紹介
実際に若者が芸能事務所の所属を口実に、被害にあった事例を紹介します。
19歳の学生Aさんは、「モデルに興味はないか」と声をかけられたことをきっかけにオーディションを受けました。
オーディションの結果は不合格でしたが、事務所からは「結果は残念でした、才能があります。やる気があるならレッスンを受けませんか」と提案されました。
Aさんはレッスンを受けることを承諾し、レッスン料として18万円をクレジットカードで支払いました。
その後、親に報告すると反対をされたため、契約解除を希望しますが、契約書には「受領した費用は返金しない」と記載されていました。
タレントモデル商法を未然に防止する4つの対策
悪徳な事務所の巧みな勧誘トークで被害にあってしまう方も多くいます。
タレントモデル商法の被害を未然に防止するには、あらかじめ対策を立てておくことが重要です。
甘い言葉に惑わされない
悪徳な事務所は「ランナウェイに出てみないか」「間違いなくデビューできる」などと思わず惹かれてしまうような勧誘で、被害者に期待を持たせてきます。
しかし、契約を結んだ後で解約できなくなってしまった被害者も多く存在します。
契約書には悪徳な事務所が有利になるような条件が記載されているリスクがあるため、その場でサインしないことをおすすめします。
一度持ち帰って家族や友人に相談し、冷静に判断することで被害を未然に防ぎましょう。
どのタイミングで費用が発生するのかを確認する
「今なら入会無料」のような言葉に惑わされないよう注意しましょう。
たとえ「この場ですぐに契約してくれたら、審査費用は事務所で負担します」などと伝えられても、安心できません。
「審査に通った」と言われた直後や契約時に、高額な費用を請求されるのもよくある手口の一つです。
また、口頭では「初期費用は無料」と言われていても、契約書には被害者にとって不利な条件が含まれている可能性もあります。
そのため、契約書は一度持ち帰り、第三者の目を通して内容の確認をしてもらいましょう。
直前で内容が変わった場合は拒否する
当初と聞いていた内容が変わった場合は、躊躇わずに断りましょう。
悪徳な事務所は、最初から応募者の希望に沿った提案をするつもりがなく、被害者にとって不利な条件を含む契約を提示してくる可能性があります。
「一部契約内容が変わった」などと伝えられても、内容を十分に確認せずに安易に承諾するのは非常に危険です。
SNSの勧誘やオーディション募集広告には要注意!安易に応募しない
SNSを通じた勧誘やオーディション広告への応募には、十分注意が必要です。
SNSのDMやリプライによるスカウトは、タレントモデル商法の典型的な入り口となっていることが多く、こうした手口によるトラブルが後を絶ちません。
事務所の名前をホームページで検索して、身元が不明であれば距離を取りましょう。
また、SNSに掲載された芸能事務所のオーディション広告に自ら応募して、被害にあうケースも少なくありません。
とくにSNSは匿名性が高く、信頼性に欠けるアカウントも多いため、誰にも相談せず独断で応募することは控えましょう。
知っておきたい契約を解除する方法
万が一、契約をしてしまったとしても、状況によっては契約を解除できる可能性があります。
本項では、被害を回復するために契約の解除方法について解説します。
クーリング・オフを利用する
クーリング・オフとは、訪問販売や電話勧誘販売などで契約を結んだ場合に、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。
クーリング・オフが適用されれば、支払ってしまった代金は全て手元に戻ります。
契約の解除による違約金も負担する必要はありません。
ただし、悪徳な事務所の中には契約解除を拒むケースもあるため、「クーリング・オフは使えない」と断られた場合でも、消費生活センターや司法書士・弁護士などに一度相談することをおすすめします。
未成年者による契約の取り消し
契約時の年齢が18歳未満であれば、原則として契約を取り消すことができます。
未成年者は、成人と比べて判断力や経験が十分でないとされており、法的に保護の対象となります。
そのため、保護者の同意を得ずに行った契約については、未成年者本人または保護者が契約を取り消すことが可能です。
ただし、令和4年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳以上の人が結んだ契約については未成年者取消権の適用外であるため注意が必要です。
また、18歳未満であっても、婚姻歴がある場合や、年齢を偽って契約を結んだ場合には、契約の取り消しが認められないことがあります。
説明に誤解を招く表現があった
応募者に対して事務所が嘘の情報を提供したことで、事実を「誤認」させられたまま契約を結んでいた場合、契約を取り消すことができます。
悪徳な事務所が被害者を最初から騙すつもりで契約を迫ってくるケースも存在します。
契約内容と説明が異なると感じたら、早急に専門機関への相談をおすすめします。
次項では「契約を結んでしまった」「契約代金を支払ってしまった」ときの相談先をご紹介します。
タレントモデル商法の被害にあったときの相談先
タレントモデル商法の被害にあい、スカウトされた事務所が本当に信頼できるのか分からず、不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本項では、具体的な解決策やアドバイスを提供してくれる相談窓口をご紹介します。
消費生活センター
消費生活センターでは、タレントモデル商法の過去の被害事例や具体的な対処法についてアドバイスを受けることができます。
電話は局番なしの「188」で、最寄りの消費生活センターにつながります。
電話料を除き、相談自体は無料です。
ただし、消費生活センターでは悪徳な事務所に対して、被害者の代理人として返金請求を行うことはできません。
あくまで、アドバイスや情報提供に留まる点にご注意ください。
司法書士・弁護士
司法書士や弁護士に依頼することで、悪徳な事務所に対して返金請求や契約解除の手続きを進めることが可能です。
事務所によっては無料相談に対応している場合もあるため、まずはそれらを活用して被害の状況や契約内容について相談することをおすすめします。
そのうえで、契約を取り消せるかどうか、支払った費用が返金される可能性、手続きの流れなどについて丁寧な説明を受けられます。
また、自分ひとりで交渉しても解決に至らなかった場合でも、司法書士や弁護士が代理人として対応することで、相手側が応じるケースも少なくありません。
手続きを任せることで、被害者の精神的・身体的な負担を大きく軽減できる点も大きなメリットです。
タレント事務所から勧誘を受けたら丹誠司法書士法人へ相談!
今回は、タレントモデル商法の概要と、横行している手口について解説しました。
一度被害にあってしまうと、経済的な損失だけでなく、心にも深い傷を負ってしまう恐れがあります。
被害に気づいた場合は、できるだけ早く契約の解除や返金請求に向けて行動することが大切です。
丹誠司法書士法人では、タレントモデル商法に関するご相談を受け付けています。
「どこに相談すればいいのかわからない…」とお悩みの方も、まずはお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。