「スマホ1台で放置するだけ」や「AIが自動で収益を生み出す」といった謳い文句で副業を勧誘する広告を目にしたことがある方も多いでしょう。
一見すると夢のようなシステムですが、実際には多くのトラブルが報告されています。
中には詐欺まがいの手法を用いるケースもあり、高額な初期費用を払ったのにまったく稼げないという被害が続出しています。
今回は、「自動収益システム」とは何か、詐欺の典型的な手口、騙されないための注意点、返金方法について詳しく解説します。
- 自動収益システムの定義
- 自動収益システムの典型的な手口
- 自動収益システムに騙されないための注意点
- 詐欺被害にあった場合の返金方法
自動収益システムとは?詐欺に繋がる危険な仕組み
自動収益システムとは、AIやシステムを活用し、ユーザーがほとんど何もしなくても収益が得られる仕組みをいいます。
具体的には、FXや仮想通貨の自動売買ツール、アフィリエイト広告の自動運用サービスなどが該当します。
自動収益システムは、一見すると手軽に稼げる便利な仕組みに思えます。
しかし、詐欺の手段として使用されるケースも多いので、注意が必要です。
とくに、以下のような特徴があれば、詐欺に用いられている可能性が高いかもしれません。
- 誇大広告を用いる
- 実現不可能な利益を提示する
- 高額な初期費用・システム利用料を要求する
誇大広告の横行
サービスの効用に誇大広告が用いられていれば、信憑性を疑ったほうがよいでしょう。
誇大広告とは、商品の利点を実際よりも大げさに表現する、または事実と異なる内容を含む広告をいいます。
消費者に誤解を与え、不当に関心を引くおそれがあるため、景品表示法などの法律で禁止されています。
実現不可能な利益の提示
「自動収益システムを使えば、毎月1,000万円稼げる!」といった、現実的に達成が難しい利益を前面に押し出した宣伝もよく見られます。
一見魅力的に感じますが、全くの嘘であるか、実現がほぼ不可能なケースがほとんどです。
また、広告には「〇〇さんは3か月で月500万円達成!」といった成功者の実績が紹介されるときもあります。
しかし、多くは架空の人物で、根拠のない数字を使っている可能性が高いです。
高額な初期費用・システム使用料の要求
自動収益システムを利用するための費用として、最初から数万円から数十万円といった高額な初期費用やシステム利用料を要求するケースも多いです。
「稼げれば元がとれる」と言われますが、回収できることはほとんどありません。
また、支払いを済ませた後も「成功の確率が上がるコンサルティングを受ければ、稼げるようになる」といい、さらに追加料金を要求してくることもあります。
しかし、コンサルティングにはあまり価値がなく、ほとんど役に立たないことが多いです。
怪しい「自動収益システム」詐欺の典型的な手口の流れ
悪徳業者は、ターゲットを巧みに引き込んで金銭を要求します。
「最初は半信半疑だったが、気づいたらお金を払ってしまった…」という事態にもなりかねません。
ここでは、詐欺の典型的な手口を詳しく解説するので、しっかりと確認しておきましょう。
1.SNS広告や副業サイトで勧誘
まず、悪徳業者は魅力的な広告をSNSや副業サイトに掲載します。
そして、広告をクリックしたユーザーを、自動収益システム(副業)を紹介する専用サイトへ誘導します。
ただし、サイト上には実際の仕事内容やシステムの詳細はほとんど記載されていません。
以下の記事では、8つのパターンに分けて副業詐欺の手口を解説しています。あわせて参考にしてください。
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2.「詳細を伝える」とLINEへ誘導
サイトには「詳細はこちら」といった案内があり、LINEの友だち登録を促すバナーが掲載されていることがあります。
友だち登録をしたユーザーに対して、勧誘用のアカウントを介して個別にやりとりを開始します。
3.「無料相談」と言いつつ、言葉巧みに電話で勧誘
LINEでやりとりを続けた後、「詳細を電話で説明するので、都合の良い日時を教えてください」などと持ちかけ、電話やZoom通話などに誘導します。
4.「初期費用が必要」と高額なマニュアルやシステムを売りつける
電話相談にて、最後に 「このノウハウを知るには、〇〇円の投資が必要です」 などと謳い、高額な教材やシステムの購入を要求します。
具体的な手法やノウハウは事前には詳しく説明されないので、多くの人が電話で初めて具体的な作業内容を知ることになります。
ここで、業者が 「今がチャンスです!」「すぐに始めた人だけが成功します!」「万が一稼げなかった場合は全額返金します」などと強調し、冷静に判断する時間を与えず即決を迫ります。
怪しい自動収益システムに騙されないための注意点
事前に詐欺の特徴を知っておけば、被害を防げるでしょう。
ここでは、怪しい自動収益システムに騙されないための重要なポイントを解説します。
「確実に稼げる」「完全自動」の謳い文句に注意
詐欺的な自動収益システムの広告では、 「確実に稼げる」「完全自動」 といったフレーズが頻繁に使われます。
例えば、以下のようなフレーズには要注意です。
- 「スマホ1台で確実に〇〇万円稼げる!」
- 「AIが24時間あなたの代わりに稼ぎ続けます!」
- 「完全放置OK!たった1日で〇〇万円の利益!」
現実には、確実に利益を保証できる投資や副業は存在しません。
リスクなしで大きな利益が手に入るという内容は、ほぼ間違いなく詐欺といってよいでしょう。
運営会社の住所・連絡先・代表者が不明なら危険
悪徳業者の多くは、 運営会社の情報を明かさず、実態が分からない状態で勧誘を行います。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- 会社名・所在地が明記されているか
- 代表者の名前が公開されているか
- 問い合わせ先の電話番号があるか
- 会社の設立年数や実績が確認できるか
もし、上記の情報が一切見つからない場合は、詐欺を疑ったほうがよいかもしれません。
LINEだけでやりとりする副業は詐欺
悪徳業者は 「詳細はLINEで説明します」 と個別対応に誘導することが多いです。
LINEの個別メッセージやグループトークなどの「クローズドチャット」は、LINE事業者であっても基本的に内容を監視できません。
当該仕組みを悪用して、違法な勧誘や取引に利用している悪徳業者が多いのです。
信頼できる企業であれば、正式な会社のメールアドレスや固定電話がわかるはずです。
LINEしか連絡手段がない副業案件には手を出さないようにしましょう。
契約前に「返金保証」の実態を確認する
悪徳業者は、ユーザーの購入ハードルを下げるために、 「返金保証付き」 を謳って購入を勧めるケースがあります。
しかし、実際に返金を求めると、以下のような理由で解約を拒否されるケースがあります。
- ◯か月が経過しないと解除できない
- 返金には特定の条件がある(条件を満たすのは極めて困難)
- 解約すると多額の違約金が発生する
契約を結ぶ前に、 返金の条件をしっかりと確認しましょう。
自動収益システムの返金方法
日頃から気をつけていても、詐欺被害にあってしまう可能性はあります。
万が一、詐欺的な自動収益システムにお金を支払ってしまった場合でも、返金を求める方法がいくつかあります。
ここでは代表的な手段を紹介するので、ぜひ試してみてください。
クーリング・オフ制度の活用
クーリング・オフとは、訪問販売や電話勧誘販売などによって契約をした場合でも、無条件で契約を解除できる制度です。
契約時の申込書面または契約書面を受け取った日を基準に、原則8日以内(マルチ商法・業務提供誘引販売取引は20日以内)であれば、書面または電磁的記録を用いることで、契約を取り消せます。
書面を受け取っていないときや書面の記載内容に不備があるときは、上記期間が過ぎていてもクーリング・オフが可能となる場合があります。
書面で通知を行う場合は、販売業者に対して 「申し込みの撤回または契約の解除を希望する」 旨を記載し、内容証明郵便または書留郵便で送付します。
クーリング・オフを適用した場合、違約金や損害賠償金を支払う必要はなく、すでに代金を支払っていた場合でも全額返金されます。
また、購入した商品を販売業者へ返送する際の 送料はすべて業者側が負担(料金受取人払い※着払い)となるので、自己負担の必要はありません。
ただし、以下のようなケースではクーリング・オフを利用できないため、注意が必要です。
- 代金が3,000円未満で、現金で支払った取引
- 通信販売で購入した商品
消費生活センターへの相談
詐欺の疑いがある場合には、消費生活センターにも相談できます。
相談方法として、お住まいの地域にある消費生活センターや消費生活相談窓口に直接問い合わせができるほか、「消費者ホットライン(188)」 にも電話できます。
消費者ホットライン(188)に電話をすれば、最寄りの消費生活センターにつながり、専門の相談員に話を聞いてもらえます。
相談することで、詐欺の可能性や適切な対処法についてアドバイスを受けられます。
また、消費生活センターには多くの相談が寄せられているため、過去の被害事例をもとに具体的な対策を案内してもらえることもあります。
ただし消費生活センターは調査機関ではないため、業者に直接返金を求めたり、法的措置を講じたりすることはできない点には注意が必要です。
弁護士・司法書士への相談
弁護士や司法書士などの専門家に相談する方法もあります。
弁護士や司法書士に相談すれば、契約内容や支払い状況、業者の対応などを総合的に分析し、取引が詐欺に該当するかを判断してもらえます。
悪徳業者の中には、クーリング・オフの適用対象であるにもかかわらず、本人からの契約解除の申請に対して、何かと理由をつけて拒否するケースもあります。
しかし、弁護士や司法書士が代理人として交渉にあたることで、態度を一変させ、契約解除に応じる業者も少なくありません。
無料相談を実施している弁護士や司法書士もいるため、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
費用面に不安がある場合でも、無料相談を活用することで状況を整理し、適切な対応策を見つけやすくなります。
まとめ
自動収益システムは、一見すると手軽に収益を得られる便利な仕組みに思えます。
しかし、詐欺的な手法を用いていることも多いです。
「完全自動で稼げる」「スマホを放置するだけ」 などの言葉に惑わされてしまうと、 高額な初期費用を支払わされた挙句、まったく利益が出ないというケースに陥りかねません。
万が一被害にあった場合は、適切な相談機関に連絡することが重要です。
相談先は複数ありますが、支払ったお金を取り戻すためには、司法書士や弁護士に相談するのが最も有効です。
返金率を上げるためには、司法書士や弁護士にできるだけ早く相談することをおすすめします。
迅速に対応すれば、それだけ返金の可能性も高まるので、被害に気づいたらできるだけ早く行動しましょう。
当事務所では、詐欺被害の返金実績が豊富な司法書士が、被害者に寄り添いながら対応し、返金の可能性を最大限追求します。
相談料や着手金は無料なので、一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。