少額の金銭トラブルを解決するため、少額訴訟を検討する人は少なくありません。
しかし、勝訴しても費用が回収金額を上回り、「費用倒れ」になるのではと不安を感じる人も多いでしょう。
本記事では、少額訴訟で費用倒れが起きる具体的な原因と、それを回避するための対策をわかりやすく解説します。
「貸したお金を返してもらいたいけど、裁判費用の方が高くなって損しないか不安」などのお悩みをお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
- 少額訴訟の基本的な仕組みと特徴
- 少額訴訟にかかる費用
- 費用倒れになる原因
- 費用倒れを回避するための対策
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以下の記事では、少額訴訟の費用相場や内訳、少額訴訟を進める際の注意点をお伝えします。
少額訴訟は低コストで金銭トラブルの解決を目指せる制度ですが、実際にどれくらい費用がかかるのかイメージしにくい方も多いでしょう。 場合によっては、裁判費用が回収額を上回ってしまう「費用倒れ」に陥ることもあるため、入念な準備が必要です。 […]
少額訴訟とは?基本的な仕組みと特徴

少額訴訟とは、60万円以下の金銭請求について、原則として1回の審理で判決まで終わる民事訴訟手続きです。
少額訴訟では、請求者の負担を軽減するため、通常の訴訟よりも大幅に手続きが簡易化されています。
ここでは、少額訴訟の利用条件や手続きを説明します。
少額訴訟の利用条件・請求金額の上限
少額訴訟は、通常訴訟を簡易化した特別な訴訟手続きです。そのため、以下のような利用条件があります。
- 簡易裁判所のみで行われる
- 同じ簡易裁判所では1年に10回までしか利用できない
- 金銭の支払いを求める請求に限られる
- 請求金額が60万円以下であること
金銭の支払い請求であれば、内容に制限はありません。
借金、滞納家賃、敷金返還なども対象です。
ただし、法的に複雑な請求の場合は、通常訴訟へ移行されることがあります。
少額訴訟の手続きの流れ・期間
少額訴訟の審理は、原則として1日で終わります。
ただし、申立てから審理の日までは一定の準備期間が必要です。
そのため、申立てから判決までの期間は、1か月ほどかかります。
典型的な流れは以下のとおりです。
- 訴えの提起
訴状を作成し、簡易裁判所へ提出する - 第1回期日の指定
裁判所が、申立てからおおむね1か月後の日時を指定する - 第1回期日の審理
当事者双方が主張・証拠を提出し、裁判所が取り調べる - 判決の言い渡し
原則として、審理後、直ちに判決が言い渡しされる
なお、期日の場でも話し合いが行われることはあります。
話がまとまった場合は、判決ではなく和解調書が作成されて訴訟は終了します。
通常訴訟との違い
少額訴訟は、少額請求の迅速解決を目的としているため、通常訴訟とはさまざまな面で異なっています。
主な違いは以下のとおりです。
| 少額訴訟 | 通常訴訟 | |
| 請求金額・内容 | 60万円以下の金銭請求のみ | 制限なし |
| 申し立てる裁判所 | 簡易裁判所 | 簡易裁判所・地方裁判所 |
| 申立ての回数制限 | 同一簡易裁判所あたり年10回まで | 制限なし |
| 審理の回数・期間 | 原則1回(判決まで約1か月) | 制限なし(1年以上かかることもある) |
| 証拠の制限 | すぐに取り調べられる証拠に限られる | 制限なし |
| 分割払い・支払い猶予が付けられた判決 | あり | なし |
| 不服申立ての手続き | 異議申立て(同じ簡易裁判所での再審理のみ) | 上訴(上級の裁判所での審理を求めることができる) |
少額訴訟にかかる費用

少額訴訟も裁判の一種である以上、費用はかかります。
弁護士などに依頼すれば、その費用も必要です。
少額訴訟で費用倒れになるのを防ぐためには、必要な費用を事前によく把握しておくことが大事です。
ここからは、少額訴訟にかかる費用を解説します。
訴訟費用とその内訳
訴訟費用は、裁判所の手続きに必要な費用です。
少額訴訟で想定される主なものは、以下のとおりです。
- 裁判手数料(収入印紙代)
請求金額(訴額)に応じて決められる。
例:訴額10万円以下の場合は1000円、60万円の場合は6000円。 - 予納郵券(郵便切手)
裁判所が当事者へ書類を送付するために使われる郵便切手代。(申立て時に、裁判所へ納める)
金額や切手の種類は裁判所ごとに異なるが、目安は数千円程度。
なお、使わなかった分は返却される。 - 証人の日当・旅費(交通費)
証人尋問を行う際に証人へ支払う費用で、金額は裁判所が決定する。目安は数千円程度。
弁護士などに支払う費用
弁護士や司法書士に依頼した場合、着手金や成功報酬が発生します。
弁護士費用は、着手金だけで10万円以上かかることも珍しくなく、少額のトラブルでは費用倒れになるリスクが高まります。
他方、簡易裁判所での代理業務を行える「認定司法書士」に依頼すれば、弁護士より費用を抑えつつ代理対応が可能な場合があります。
その他の実費
訴訟費用や弁護士・司法書士費用のほかにも、たとえば以下の実費が発生する可能性があります。
- 交通費
裁判所までの交通費 - 郵送費
裁判所に書類を提出する際の郵送費 - 証拠収集の費用
取引履歴の発行、登記事項証明書の取得などにかかる費用 - 強制執行の費用
勝訴後に差し押さえなどの強制執行をする場合の費用
※強制執行を弁護士などに依頼する場合は、その弁護士費用なども必要
少額訴訟で「費用倒れ」になる原因

少額訴訟は請求金額が小さいため、費用倒れになる可能性が高いです。
しかし、必ず費用倒れになるわけではありません。
費用倒れとなるケースを事前に知ることで、少額訴訟を検討する際の判断材料として役立ちます。
以下では、少額訴訟で費用倒れになる原因とケースを説明します。
費用が回収金額を上回る場合
少額訴訟では、前記の訴訟費用や実費のほか、弁護士・司法書士へ依頼する場合の報酬などもかかります。
これらの総費用が、回収できる見込み金額を超えてしまうと、費用倒れになります。
これが最も典型的な費用倒れの原因です。
少額訴訟を検討する際は、具体的な費用と回収見込み額を見積もりましょう。
相手方から回収できない場合
請求金額が費用より高額でも、請求金額どおりに相手方からお金を回収できるとは限りません。
少額訴訟で勝訴しても「支払能力がない」「差し押さえられる資産がない」という場合、判決は「絵に描いた餅」となり意味がなくなります。
費用倒れを防ぐには、額面上の請求額ではなく、実際に回収可能な金額を考慮する必要があります。
少額訴訟で敗訴する場合
訴訟である以上、必ず勝訴できるわけではありません。
特に、証拠が不十分な場合や相手方の主張に正当性がある場合は、敗訴リスクがあります。
敗訴すれば回収額はゼロのため、費用倒れになります。
勝訴の見込みがあるかどうかを検討しておくことは必須です。
費用倒れを回避するための対策

少額訴訟で費用倒れを防ぐには、事前に費用対効果を十分に検討することが重要です。
場合によっては、訴訟以外の手段が得策なこともあります。
以下、費用倒れを避けるために必要な準備や対策を説明します。
かかる費用を事前に見積もっておく
まず、少額訴訟の費用を具体的に計算しておきましょう。
前記のとおり、少額訴訟には、訴訟費用や実費がかかります。
弁護士や司法書士に依頼する場合は、その費用も必要です。
これらをシミュレーションして、おおよその合計額を見積もっておくことが重要です。
相手方の支払能力・資産を事前に調査する
費用倒れになるかどうかは、相手方に支払能力や財産があるかどうかに左右されます。
せっかく勝訴しても、支払能力のない相手からは回収できません。
そのため、相手の勤務先や給料の振込先、所有する不動産や自動車などを可能な範囲で調査しておきましょう。
相手に支払能力も財産もないと分かった場合、訴訟以外の解決策を検討するか、場合によっては諦める選択肢も必要になります。
少額訴訟の前に交渉を試みる
訴訟は最終手段です。
まずは、相手方に内容証明郵便で請求書を送り、交渉を試みましょう。
交渉がまとまれば、訴訟にかかる時間と費用を節約できます。
交渉が上手くいった場合は、合意書を作成します。
その際、可能であれば、公正証書で作成しておくことをおすすめします。
公正証書の場合、万が一支払いが滞っても、訴訟などを経ずに強制執行へ進めるからです。
また、交渉で合意に至らなかったとしても、メールやLINE、書面などの記録は、訴訟時に証拠として利用できる場合があります。
支払督促や民事調停を検討する
支払督促は、裁判所から相手方に督促状を送付してもらう手続きです。
少額訴訟よりも低コストで済み、相手が異議を出さなければ強制執行が可能になります。
ただし、異議が出ると通常訴訟へ移行する点に注意が必要です。
一方、民事調停は、裁判所が選任した調停委員を介して和解を目指す手続きです。
こちらも手数料などは少額訴訟より低額です。
和解が成立して、裁判所に和解調書を作成してもらうと、支払いが滞った場合すぐに強制執行ができます。
ケースに応じて、これらの手続きを選択肢に入れるとよいでしょう。
司法書士に相談・依頼する
認定司法書士は、簡易裁判所で取り扱う140万円以下の請求について代理権が認められています。
そのため、少額訴訟の代理を依頼可能です。
弁護士よりも費用を抑えられるケースが多いため、費用倒れのリスクを最小限に抑えられます。
不安な場合は、認定司法書士に相談するのも1つの方法です
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まとめ

少額訴訟は、金銭トラブルを迅速かつ低コストで解決するための有効な手段です。
しかし、訴訟費用や弁護士費用、そして相手の支払能力によっては、「費用倒れ」という大きなリスクを伴うことを理解しておく必要があります。
費用倒れを回避するためには、事前の情報収集と、訴訟以外の解決策も視野に入れた冷静な判断が不可欠です。
もし少額訴訟を検討していて不安な点がある場合は、一人で抱え込まず、早めに認定司法書士に相談しましょう。
丹誠司法書士法人では、認定司法書士が少額訴訟など金銭請求についてのご相談を受け付けています。
少額訴訟でお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
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